2026年03月05日
【MONTHLY No.047】歴史的趨勢
このレポートが、皆様の資産運用の一助になれば幸いです。
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- 【歴史的趨勢】
- 【日本における保守への歴史の動き】
- 【日本も国民負担率増加でナショナリズム】
- 【民意はリベラルからナショナリズムへ】
- 【連立組み換えで長期政権へ】
- 【日本不振の真因・・・大義の喪失(他力本願の日本国家像80年)終焉へ】
- 【戦後日本は】
- 【日本には保守・ナショナリズム革命を成功に導く二つの力がある】
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Monthly 3月号
歴史的な歯車が動いている
世界は大転換期にあり、今まで考えてもみなかったような事が相次いで起きている。しかし良く目を凝らすと、大きな力が歴史の歯車を動かしていることが分かる。まず米国でのトランプ政権の誕生の背景にどのような歴史的歯車が動いているのか、考えてみるべきか。 (3月4日 文責 太田)
【歴史的趨勢】
世界では、歴史の歯車が動いていることが分かる。まず米国でのトランプ政権の誕生の背景にどのような歴史的歯車が動いているのか、考えてみよう。
かつて保守反動と言う言葉があった。ウィキペディアには次のように記載されている。「一切の改革や革新に反対する姿勢、行動のこと。左翼勢力が右翼勢力をさして批判的文脈で用いる(「保守反動」「右翼反動」など)」。その語源はフランス革命時代に、革命に反対する旧体制(アンシャン・レジーム)派を批判する立場から生まれた。
一方民主主義の揺籃器であった資本主義は深刻な危機に直面している。この危機に対応し資本主義を守り発展させる政治的潮流が台頭している。米国のトランプ改革や、日本の高市改革、欧州での極右ポピュリズムと言われるグループがそれに属する。
米国の資本主義は、①中国の圧倒的工業力、②失業を大規模に生み出すAI革命、③資本主義と相入れない極端なリベラル思想の蔓延、という3つの脅威に直面しこのままでは崩壊してしまうだろう。
歴史上はじめて、没落する巨大な階層が現れた。中国の台頭と工場の海外移転により、かつての工場労働者が没落中間層となり、その怒りがトランプ支持の中心をなしている。トランプ氏はそうした危機感をいち早く抱き、乱暴とも見える劇薬的政策を次々打ち出しているが、その根底にある認識は正しいであろう。この大目的遂行のためには国際法違反や強権の行使など非常事態的対応は正当化される、とトランプ氏は考えているのであろう。
第一期トランプ政権の4年間に株価は1.8倍になり、米国経済は先進国中で突出した高成長を続けたが、株価と経済成長は第二期トランプ政権でも続いている。この経済的成果はトランプ氏の変革が、成功する可能性があることを物語っている。その先にはトランプ氏が想定する米国資本主義の復活、強化というシナリオも十分にあり得る。
【日本における保守への歴史の動き】
驚きなのは、トランプ氏の変革と同類の歴史の歯車が日本で動き始めていることである。分断や格差が小さい日本では、トランプ現象は無縁である、と思われていた。しかし昨年夏の参院選挙で、自民・公明のリベラル中道政権が大敗し、保守系新興4野党が大勝した。
保守系4野党の主張をまとめると、①反中・ナショナリズム、②積極財政による生活支援と成長重視、③過度のリベラル主義反対、でありこれらはトランプ政権の主張と驚くほど似通っている。背景には日本にも働く世代の怒りがあったと考えられる。
【日本も国民負担率増加でナショナリズム】
日本の実質消費は過去10年間、世界で唯一落ち込んだ。デフレ経済の停滞の中で、著しい高負担により手取りが減少したためである。2012年にスタートした社会保障と税の一体改革の下で、国民負担率は38%(2011年)から48%(2022年)へと10年間で10%も上昇した。
この高負担による生活困窮が、働く世代の怒りに火をつけたと言える。昨年夏の参院選挙比例区における世代別得票率シェアを比較すると保守系野党4党(国民民主、参政、日本保守、日本維新)が、既存3党(自民、公明、立憲民主)を現役世代の全ての世代において大きく上回った。
ちなみに既成3党対新興保守野党4党の得票率シェアを見ると、10代(24対59)、20代(21対62)、30代(23対55)、40代(28対45)、50代(38対38)であった。これらの新興保守野党は、中国、ロシアなどの専制国家の脅威にも敏感で強いナショナリズム志向を持ち、戦後リベラリズムに対する批判も表明している。
【民意はリベラルからナショナリズムへ】
このように、民意は中道・リベラルから保守・ナショナリズムへと大旋回していたのである。この民意の大旋回から全てが始まった。①昨年10月の自民党総裁選挙では少数派で筋金入りの保守政治家の高市氏を総裁に選出、その直後の、②公明党の連立離脱と自民・維新への連立の組み換え、③台湾有事に関する国会答弁を口実にした中国による高市政権に対する威圧・恫喝、④高市氏による解散総選挙実施、⑤立民、公明による中道改革連合の形成と流れは繋がっていく。
【連立組み換えで長期政権へ】
自民党は連立相手を公明党から、日本維新に変えたことで、真性保守党に脱皮し生き残りを図ったともいえる。選挙で大勝した高市氏は自民党内のリベラル系の反対派を抑える十分な信任を得た。高市政権は最低でも3年以上の長期政権となり、日本の保守革命を遂していくだろう。昨秋からの高市当選後以降の株高は、高市政権の変革対する期待を示している。
この流れを既存メディアや学者、評論家など知的エリートは全く読めなかった。日本も世論形成の主役は情報エリートや既存メディアではなく、ネット・SNSの時代に入っていたのである。
このように見てくると立憲民主・公明の合体による中道改革連合がいかに歴史的流れに背く反動的なものかがわかる。民意がリベラルから保守に流れる中で、あえて右傾化への危機を強調したのであるから初めから成功はおぼつかなかった。どさくさに紛れて立憲民主が安保法制反対などの従来のリベラル路線を捨てる挙に出たことは、戦後民主主義を支えたリベラル思想が完全に時代の遺物(=革新反動)になったことを示唆している。
これから実施される高市氏の高圧経済政策が正しいか、それに対して批判を続けている経済学者、エコノミスト、大手メディアの多数派が正しいのか。高市経済政策批判派が間違っており、高市政権成立後の株高はそれを証明していると考える。最後まで誤りを認めなかった「中道革新連合」と同様に、謬論を垂れ流す高市経済政策批判派は、歴史の遺物となっていくのではないだろうか。
【日本不振の真因・・・大義の喪失(他力本願の日本国家像80年)終焉へ】
それにしてもなぜ日本はかくも長き不振に陥ってしまったのだろうか。日本は明治維新以降の改革により植民地化を逃れられたばかりか、非西欧にあって唯一民主主義を受容し工業化を成し遂げた国、という自負があった。敗戦後の奇跡のような復興を遂げたことも、日本の固有の長所が成せるものど意識された。Japan as number oneを支えた誠実、勤勉、公正、協調的な国民性は日本の長所としてたたえられた。その国民的長所が短期間に変わるはずがないのに、全く見えなくなってしまったのである。
様々な分析がなされているが、最も本質的な原因は大義、つまり国の羅針盤の喪失であろう。明治の日本には、先進国に追いつき、民主主義を受容し、富国強兵を成し遂げるという強烈なナショナリズムが大義であった。
【戦後日本は】
戦後の昭和の羅針盤は平和主義と経済主義に変わった。戦争の反省と米国軍事従属の大枠の中で、ナショナリズムを棚上げし、与えられた運命の中で賢くふるまう「町人国家論」(天谷直弘氏)が広く受け入れられた。このナショナリズム棚上げの状態は、米国の日本たたきにより破綻し、大義を持たない日本は茫然自失に陥った。失われた30年はまさに大義喪失の時代であった。
企業は脱日本・グローバル化で生き残りを図り、個人は海外との接触を減らし内向きになる「引きこもり」で精神的安寧を求めた。この分断状態の中で、政治家と官僚は自立心を失っていた。最大の政策目標が財政赤字削減、老後不安を担保する社会サービスの充実などと言う矮小性であった。
【日本には保守・ナショナリズム革命を成功に導く二つの力がある】
日本には保守・ナショナリズム革命を成功に導く、米・欧・中にはない2つの要素がある。その第一は経済資源と投資力である。高い企業収益力、潤沢な貯蓄・資本力、実は豊かな財政出動余力である。また世界で最も相互信頼が高い国=トラストの国=最低のリスクプレミアムの国である。
第二は国民的結束力である。大義に結集する条件を、今の日本は備えている。同質的国民性、熾烈な日本の国際環境(危険な隣国中国・ロシア・北朝鮮、頼れない覇権国米国)、禁じられていたナショナリズムの復権(愛国心、国家主義の名誉回復)などである。このようにして日本に大義が戻れば、政策や企業行動のベクトルが揃い、決断の時間を早め、変化を促進する。意見が対立する財政論議にも直ちに解が下されよう。