2025年12月29日
【Weekly No.516】乗り遅れ不安とバブル懸念が交錯、2026年の米国株は急変動に警戒
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- 【乗り遅れ不安とバブル懸念が交錯、2026年の米国株は急変動に警戒】
- 【S&P500最高値更新、GDP予想上回る伸び-ドル156円台前半】
- 【7-9月米GDPは4.3%増、2年ぶり高成長-個人消費と設備投資堅調】
- 【米消費者信頼感指数、5カ月連続で低下-労働市場に悲観的な見方】
- 【米国株の優位性、問われる見通し】
- 【新年の季節的要因と26年のリスク選好姿勢】
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Weekly 12月29日
【乗り遅れ不安とバブル懸念が交錯、2026年の米国株は急変動に警戒】
2026年の米国株式市場は、人工知能(AI)ブームに乗り遅れることへの不安と、AIバブル崩壊への警戒感の間で投資家心理が揺れ動き、当面は神経質な展開が続くとみられる。
過去18カ月にわたり、米株市場では大幅な売りと急反発が繰り返されてきた。こうした傾向は来年も続く可能性が高く、過去の技術革新と同様に、AIをめぐって過熱と調整を繰り返す展開になると予想するストラテジストもいる。
AI投資ブームの中心にあるテクノロジー企業は、市場に対して過大とも言える影響力を持つ。2025年は、こうした企業群とS&P500のその他の銘柄との乖離が拡大し、ハイテク株の上昇が他セクターの下落を相殺する形となった。それが市場全体の実現ボラティリティーを抑える要因となってきた。
もっとも、足元で投資家は半導体関連銘柄のつまずきが波及する事態に警戒を強めている。その場合、「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー指数(VIX、別名恐怖指数)などは急上昇する可能性がある。
2025年は総じて、広範なリスクオン・リスクオフ相場というより、物色のローテーションが進み、相場を牽引する銘柄が限定される年だった。その結果として個別銘柄同士の連動性は過去最低水準まで低下した。逆に言えば、マクロ要因が再び相場を主導する局面では、VIXが大きく跳ね上がりやすい状況にある。
バブル化への不安がファンドマネジャーの最大の懸念になっていることが明らかのようだ。一方、相場上昇に「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」(「Fear Of Missing Out」の略語。 新しい情報や周囲の行動についていけないと、社会から置いてきぼりになってしまうと不安や恐怖を感じる状態のこと)もある。ストラテジストは、資産バブルは膨らむほど不安定になりやすいことから、2026年は株式市場でボラティリティーが高まりやすいとみている。
【S&P500最高値更新、GDP予想上回る伸び-ドル156円台前半】
23日の米国株は薄商いの中で上昇。7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)など多くの経済指標を消化しつつ、S&P500は最高値を更新した。
S&P500は4営業日続伸して6900を上回った。テクノロジー銘柄が上げを主導。クリスマス休暇を控えて出来高は過去1カ月の平均を大きく下回った。朝方発表された経済指標は早期利下げ観測を強める内容ではなく、指数は一時下げに転じる場面もあったが、その後持ち直した。
最新のGDP統計は経済が順調に拡大を続けていることを示す一方、消費者信頼感指数に見られるように、実体経済の現場では異なる受け止め方がされている可能性がある。
第4四半期を通じて消費者が底堅さを維持すれば、米国のGDPと企業利益にとって好材料になるだろう。利益は上振れが続いており、今年の相場上昇の大きな要因となっている。強気筋は、この流れが2026年も続くことを期待しているようだ。
トランプ大統領は、市場が好調であれば米連邦準備制度理事会(FRB)議長は利下げすべきだとの考えを示した。次期FRB議長の候補として利下げに前向きな人物を求めていることを改めて示唆した格好だ。
トランプ氏は23日、SNSへの投稿で「市場が好調なら金利を引き下げるFRB議長を私は望んでいる。理由もなく市場を破壊するようなことはして欲しくない」とし、「私に異論を唱える者がFRB議長になることは決してない」と記した。
インフレ調整後の7-9月GDPは前期比年率4.3%増加。伸びは、エコノミスト予想を上回った。4-6月(第2四半期)は3.8%増だった。経済がこの水準の成長を維持すれば、景気減速を過度に懸念する必要はなくなり、むしろ物価安定を巡る制約に再び関心が移る可能性がある。視線が来年に移る中、米国の経済成長見通しは明るいように見える。関税政策、財政刺激策、労働市場の変化、人工知能(AI)関連の生産性向上、規制緩和の可能性といった要素が組み合わさり、26年はトレンドを上回る成長が見込まれると予想する向きが大勢。 投資家は、力強いGDP統計と弱い雇用環境の組み合わせが金融政策にとって何を意味するのかを、見極めようとしてくるだろう。
12月の米消費者信頼感指数は5カ月連続で下げた。インフレや関税、政策を巡る懸念が続いている状況を反映した。
それでも投資家は来年の利下げ見通しを後退させており、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ確率は現在、約16%にとどまっている。
【7-9月米GDPは4.3%増、2年ぶり高成長-個人消費と設備投資堅調】
前述した様に、米経済は7-9月(第3四半期)に2年ぶりの高い成長率を記録した。底堅い個人消費や企業設備投資に加え、貿易政策の落ち着きが寄与した。
米商務省経済分析局(BEA)は7-9月のGDP速報値を当初10月30日に公表予定だったが、政府閉鎖の影響で発表を見送った。通常は四半期の成長率について3回の推計値を公表し、追加のデータが入るにつれて中身を精緻化していくが、過去最長となった今回の政府閉鎖前の7-9月については2回のみの公表となる。
GDP発表後の米市場では、S&P500種株価指数が午前の早い段階に上昇し、米国債利回りも上昇した。
トランプ大統領が打ち出した関税措置が一部撤回される中、米経済は個人消費が先導する形で年央を通じて勢いを維持したことが、今回のGDPでは示された。
政府機関の閉鎖は10-12月(第4四半期)の成長を圧迫すると見込まれるが、エコノミストは2026年には緩やかに回復すると予想している。家計への税還付や、トランプ氏による包括的な関税措置を連邦最高裁が無効とする可能性があることなどが理由だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の経済見通しも、こうした見方を裏付けている。パウエル議長は来年の成長率が加速するというFRB見通しの根拠として、財政政策の下支えや人工知能(AI)向けデータセンターへの投資、家計消費の持続を挙げた。FRBは今年末までに3会合連続で利下げを実施した後、2026年の利下げは1回にとどまると見込んでいる。
一部のFRB当局者が借り入れコストのさらなる引き下げに慎重な一因は、インフレ率が依然として目標の2%を上回っていることだ。今回のGDP統計によると、FRBが重視するインフレ指標である食品とエネルギーを除く個人消費支出(PCE)コア価格指数は、7-9月期に2.9%上昇した。BEAは10月分および11月分の月次PCE統計について、公表日程をまだ示していない。
【米消費者信頼感指数、5カ月連続で低下-労働市場に悲観的な見方】
一方、同日発表の米消費者信頼感指数は5カ月連続で下げた。労働市場とビジネス環境に対する悲観的な見方が広がった。現況指数は116.8と、2021年2月以来の低水準。今後6カ月の見通しを示す期待指数は前月から横ばいだった。
物価高と労働市場の動向は年間を通じて消費者を不安にしており、消費者信頼感指数を押し下げてきた。雇用の伸びは鈍り、失業率は上昇、インフレは連邦準備制度理事会(FRB)が目指す水準を依然上回っている。
エコノミストの予測では来年も雇用は低調で、失業率はほとんど改善が見込めず、引き続き消費者信頼感の重しになる。賃金の伸びは一段と減速し、所得層によって消費の差が拡大する見通しだ。
雇用の機会に対する消費者の見方は12月に悪化し、同時に将来の労働市場に対する見方も弱くなった。労働市場の健全性がいかに米金融政策を左右するかを考慮すると、来年はより多くの利下げがあると予想される。
職探しが困難との回答は増え、仕事が豊富にあるとの回答比率は低下した。両者の差は縮小し、2021年2月以来の小幅となった。エコノミストは労働市場の動向を示す重要指標として、この差に注目している。
家計に対する回答者の見方は、ほぼ4年ぶりにマイナスの領域に悪化した。一方で先行きに対しては明るさを増している。
【米国株の優位性、問われる見通し】
過去2カ月の間、ポートフォリオの組み換えを投資家は進めてきた。AIや半導体関連の取引が停滞する一方で、他の魅力的な選択肢へ資金が向かっている。この動きは米国と欧州の両市場で見られるが、地域によってその中身には違いがある。
こうした循環物色は、経済との連動性が高い銘柄やディフェンシブなポジション、出遅れセクターへの投資などが組み合わさり、上昇相場の裾野を広げることに役立っている。
AI関連は収益性や持続性が問われており、こうした状況が続けば、投資家がポートフォリオのテーマを来年にかけてさらに見直す可能性もある。今後2-3回の決算シーズンでは、各業界の健全性について新たな手がかりが得られることから、それに応じて物色先が切り替わる可能性もあるだろう。
10月以降にテクノロジー株の配分は低下し、景気循環株や出遅れ組への投資が増加している。
【新年の季節的要因と26年のリスク選好姿勢】
新年の年初はリスク志向が高まるという季節的な要因があり、通常は株価への追い風として働く。新規のリスク予算、パフォーマンス評価のリセット、年金への資金流入などが、相場を押し上げることが多い。
株式市場の見通しは1-3月(第1四半期)から4月にかけておおむね前向きではあるが、歴史的に見て1月と2月は極めて好調な月というわけではない。実際、ここ数年は年明けに強い上昇が見られた年もあれば、大幅な下落に見舞われた年もあり、結果はまちまちだった。
今年のリターンは主要市場の主力銘柄に大きく集中し、指数を構成する銘柄間の相関は崩れた。この状況は、銘柄選別を得意とする投資家に多くの好機をもたらした。
26年の相場は異なるかもしれないが、勝ち組の裾野が広がり、セクター間で主役が入れ替わる可能性があり、アクティブファンドの運用者がベンチマークを上回る成績を上げる機会が出てきそうだ。
われわれはリスク選好姿勢を維持しており、AIが米国株を押し上げる主要テーマであり続けるとみている。ただし、AIの恩恵が広がり始める中で、AIを構築する企業の間で勝ち組と負け組を選別することになると思われる。
最後に、現状、投資家は手持ち資金をほぼ全て市場につぎ込んでいる様子に見える。経済成長から株式、コモディティーに至るまで、投資家は全てに強気で新年に向かっている。
景気拡大局面で高パフォーマンスとなることが多い株式とコモディティーに対する現金保有比率は運用資産のわずか3.3%と、過去最低と報じられている。
米株の主な下振れリスクは、米国の労働市場が悪化し、景気後退のリスクが再び意識されるようになるシナリオだろう。市場は現時点で景気後退リスクを低く見積もっている。米国株に対する最大の個別リスクはAIテーマに対する信認の揺らぎだ。そのため、株式を地域的にもセクター的にも分散させ、伝統的な景気循環銘柄やヘルスケアなど割安なディフェンシブ銘柄を織り込んだポートフォリオを推奨する。