2025年12月08日
【Weekly No.513】高市政権は日銀12月利上げを容認の姿勢、実施の可能性高める
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- 【高市政権は日銀12月利上げを容認の姿勢、実施の可能性高める】
- 【米失業保険申請、予想外に減少し22年以来の低水準-感謝祭の週】
- 【今年の東証社数は58社減の見通し、統合来初めて減った昨年から拡大】
- 【「ドル全面安なのに円安」?】
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Weekly 12月8日
【高市政権は日銀12月利上げを容認の姿勢、実施の可能性高める】
高市政権は、日本銀行が今月利上げを行うことを容認する姿勢だ。日銀が利上げを決める可能性を一段と高める要因となる。
関係者によると、このタイミングでの利上げに慎重な意見もあるという。植田日銀総裁は1日の講演で、12月18、19日の会合で「利上げの是非について適切に判断したい」と述べた。この発言が利上げの明確なシグナルと受け止められ、市場では日銀が今月会合で政策金利を現行の0.5%から0.75%に引き上げるとの観測が高まっている。
日銀が前回の利上げを実施した1月の会合前にも、総裁は同様の表現を用いていた。これに先立ち、複数の政府関係者の話として、日銀が今月中に利上げを行う可能性が高く、政府もこれを容認する構えだと報じていた。高市氏は金融緩和を重視するとみられており、首相就任によって、日銀に利上げペースをより緩やかにするよう影響力を及ぼすのではないかとの観測も浮上していた。
【米失業保険申請、予想外に減少し22年以来の低水準-感謝祭の週】
先々週の米新規失業保険申請件数は予想外に減少し、約3年ぶりの低水準となった。レイオフの発表が相次ぐ中でも、雇用主は総じて労働力を減らしていないことが示唆された。
週ごとの変動をならした新規申請件数の4週移動平均は、先週に21万4750件に減少し、1月以来の低水準となった。数カ月前から多くの企業が雇用を抑制しており、HPやフェデックスといった大手企業の一部は人員削減を発表している。しかしながら実際のレイオフは限定的だったことが今回のデータで示され、労働市場の急速な悪化に対する懸念は和らぎそうだ。
継続受給者数は減少したものの、なお2021年以来の高水準に近い。労働市場では雇用と解雇の両方が低い水準にあり、失業保険の新規申請を抑制すると同時に、失業中の労働者が新たな職に就くのを難しくしている。
3日に民間のADPリサーチ・インスティテュートが発表した11月の民間雇用者数は、小規模事業者による解雇が影響し、約2年ぶりの大幅減少だった。今週の連邦公開市場委員会(FOMC)は3会合連続となる利下げの是非を検討するにあたり、この統計と今回の失業保険データを参考にするとみられる。
【今年の東証社数は58社減の見通し、統合来初めて減った昨年から拡大】
日本の上場社数が減少傾向を強めている。3年前に始まった株式市場再編の動きに加え、取引所や投資家から資本効率の向上を求める圧力が強まり、経営陣による買収(MBO)や企業の再編が増えているからだ。
日本取引所グループの3日時点の公表データによると、東証の上場社数(TOKYO PRO Marketと外国企業除く)は2025年末に3778社と前年比で58社減り、減少幅は24年の1社から大幅に拡大する見通し。昨年は東証と旧大阪証券取引所が統合した13年以降で初のマイナスだった。
日本の上場社数は国内総生産(GDP)で7倍ある米国とほぼ同じで、経済規模に比べ多過ぎるほか、時価総額の小さい企業も多く、海外投資家や国内の機関投資家が投資しにくいとの批判があった。しかし、上場企業の整理・淘汰が今後進み、一定以上の収益規模や時価総額を持つ精鋭が増えれば、海外勢が一段と日本株を評価する可能性がある。上場社数の減少はポジティブと分析。投資家資金がより効率的に循環するほか、企業の合併・買収(M&A)を通じた規模の拡大で、海外勢のターゲットになる企業の増加が見込めると話す。
上場社数の減少は世界的な流れだ。国際取引所連合(WFE)によると、米主要取引所に上場する米企業の数は10月時点でピークだった1996年末と比べ5割超減少。GDPで日本を上回るドイツも420社と99年から6割減っている。ガバナンス(統治)の厳格化や米SOX法に代表される規制強化を受けた上場維持コストの増加に加え、プライベートエクイティー(PE)など代替機能の成長、M&Aの活発化が背景にある。
グローバルファンドの投資対象として必要な時価総額は最低限20億ドル(約3100億円)が目安になるとみている。データによると、東証の最上位市場であるプライム市場銘柄で過去5年の間に時価総額が3000億円に達したことがない企業は約7割に上った。
海外では、上場社数が減少する中でも企業の市場価値は拡大してきた。国際取引所連合WFEによると、米上場企業の平均時価総額は25年10月末時点で約180億ドルと00年末比で8倍、ドイツは約66億ドルと同3.8倍になっている。日本が約20億ドルと3割しか増えていないのとは対照的だ。
【「ドル全面安なのに円安」?】
今年も残すところ1カ月を切った。第二次トランプ政権による相互関税が華々しく発表された「解放の日」(4月2日)以降、金融市場では「ドル離れ」が争点化し、為替市場は大幅なドル安に直面した。
本来、ドル全面安の下では、主要通貨はおおむね強含みが期待されるが、明確に上昇したのはユーロとスイスフランくらいであり、円を含むその他主要通貨は下落した。もっとも、ドル全面安とも言える相場は9月半ば以降収束し、既に底打ちしている。もちろん、2026年に入ればトランプ派のFRB(米連邦準備理事会)議長の下、大胆な緩和路線が展開され、ドル売りが活発化するとの期待が広がりそうだが、現時点では「ドル離れ」に引っ張られたドル安は停止している。
振り返ってみれば、「ドルの基軸通貨性」の毀損や、これに伴うドル安相場はおおむね4~10月の半年間が全盛期だったと言えるだろう。ただ、テーマの全盛期がその半年間だったというだけであり、ドル一極体制から多極体制へと為替市場の潮流が変化しているという事実は注意が必要である。
事実、世界の外貨準備に占めるドル比率は過去最低を断続的に更新し、利下げが視野に入っている割に米国債利回りもさほど下がらないという現状がある。短期的な相場解説として「ドル離れ」は賞味期限が切れているとしても、国際金融を語る大テーマとしては2026年以降も目が離せない。ドル安なのに円安が進む原因はどこにあるのか?
過去3年半は「欧州通貨上昇、円下落、ドル横ばい」という事実があう。とりわけ、スイスフランの約+20%上昇、円の約▲20%下落という対照性は目を引く。こうした円相場の現況を踏まえ、分析者が検討すべき論点は米国の経済統計の強弱やそれに伴うFF金利の軌道ではなく、日本の経済・金融情勢だろう。
10月以降に円安が一段加速しており、これが高市政権のマクロ経済政策に対する思惑を反映した動きであることは疑いようがない。
「ドル安下での円安」。この状況を打開する方法は1つではないが、まず金融市場は、①高市政権からの情報発信においてリフレ政策(デフレ状態から脱却し、過度なインフレにならない程度の物価水準を目指す金融政策や財政政策のこと)からの変節が相応に確認されることを望むだろう。その上で、②円の実質金利が2022年以前の水準に回帰するほど大きな日銀利上げが行われ、③貿易収支赤字も現在の改善傾向が続いていることなどが求められる。③に関しては相応の期待が持てるとしても、拡張的なマクロ経済政策運営を志向する現政権に対し、①や②は確度の高いシナリオにはならない。
2026年も「ドル安下での円安」という現象は継続するのか。「ドル離れ」という極めて強力なドル売り材料が注目される状況でも円高相場は定着しなかったため、直感的に円安の反転は難しくなったようにも感じられる。
為替市場にはトルコリラやアルゼンチンペソなど、ドル相場の動向にかかわらず常に脆弱な通貨は存在するため、一定の不安は抱いて然るべきだろう。
もちろん、2025年の円が経験した「ドル安下での円安」は「ドル離れ」という特殊な理由に駆動されたドル安相場だったからこそ起きたという考え方もある。「安全保障面・経済面で米国と強固な結びつきにある日本の円だからこそ一蓮托生でドルに連れ安になった」という解釈だ。
そもそも2022年3月に始まった円安局面においては「FRBの利下げが始まれば……」、もしくは「日銀の利上げが始まれば……」という日米金利差縮小への期待が円高反転の契機になると言われ続けてきたが、結局円安は収まっていない。過去2年弱で日銀は利上げ局面に、FRBは利下げ局面に入ったのにもかかわらず、だ。
仮に我々が直面している円安の背景が異常に低い実質金利(名目金利-インフレ率)や外貨の流出しやすい需給構造だとすれば、FRBの利下げだけで円安相場が終わる可能性は低い。ずれにせよ、「ドル安下での円安」が一過性の現象なのか。それとも為替市場に現れた新常態なのか。2026年はそれを見極める年になる。