2025年12月01日
【Weekly No.512】ベッセント氏、FRBの簡素化を提唱-次期議長候補者との面談でも重視
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- 【ベッセント氏、FRBの簡素化を提唱-次期議長候補者との面談でも重視】
- 【米利下げ、金利先物市場は確実視-次期FRB議長人選で来年も緩和観測】
- 【ベージュブック、米経済活動ほぼ変わらず-高所得層除き消費減少】
- 【野口日銀委員、政策調整は慎重に-「小刻みな利上げ」が現実的】
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Weekly 12月1日
【ベッセント氏、FRBの簡素化を提唱-次期議長候補者との面談でも重視】
ベッセント米財務長官は、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長候補との面談における主要テーマの一つはFRBの簡素化だと述べた。短期金融市場におけるFRBの運営が複雑化し過ぎているとみている。
ベッセント長官は25日、米経済専門局CNBCで、候補者を評価する上で注目している点の一つは、FRBのさまざまな手段の相互作用だと指摘。「FRBの運営が非常に複雑化していると私は考えている」と述べた。
ベッセント氏は、パウエル議長の後任候補5人との第2ラウンド最終面談を25日中に実施すると明らかにした。また、トランプ大統領が12月25日より前に指名を発表する可能性があるとの見通しを改めて示した。政権によるこれまでの説明によれば、最終候補はウォラーFRB理事、ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)、ケビン・ウォーシュ元FRB理事、ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長、ブラックロック幹部のリック・リーダー氏の5人。
現在FRBは政策金利の調整において、十分な準備預金のアプローチを取っており、バランスシート上に大量の米国債を保有している。現行体制の一環として、銀行がFRBに預ける準備預金などに付利を行っている。
ベッセント氏は、「FRBは『十分な準備預金体制』と呼ばれる新たな体制へとわれわれを導いたが、システムにおける準備預金が本当に十分かどうかという点で、やや揺らぎが見られるようだ」と述べた。
ベッセント氏は「金融政策、バランスシート、そして規制政策の間には非常に複雑な計算関係が存在する」とし、FRB議長候補との「面談ではその相互作用をどう捉えるかという点を特に重視してきた」と述べた。
このほか、「FRBはもう少し目立たない存在に立ち戻るべき時期に来ているように思う」と発言。ただその具体的な意味については説明しなかった。またFRB高官による発言が多過ぎるとの考えも示唆した。
「各地区連銀総裁による重複したスピーチを少し控えさせる必要がある」とベッセント氏は語った。
この時点でホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長が、次期連邦準備理事会(FRB)議長の最有力候補に浮上しているもよう。
【米利下げ、金利先物市場は確実視-次期FRB議長人選で来年も緩和観測】
12月9日~10日に開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)による12月の追加利下げの可能性ついて、先々週まで懐疑的だった投資家の見方が大きな確信に変わり、米国債相場が上昇する環境が整った。
政策金利の誘導目標、フェデラルファンド(FF)金利の将来の水準を想定して取引されるFF金利先物は、新たなポジションが過去3営業日で急増した。来年1月限の1日当たりの取引高は先週、連続で過去最高を記録した。12月会合での0.25ポイント利下げ決定を巡っては、約80%の確率が市場の価格設定に反映されている。数日前は30%に過ぎなかった。
先週遅れて発表された9月の雇用統計がまちまちの内容となった後、市場心理が変化し始めた。労働市場が軟化する中で、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が21日、「近い将来の」利下げ余地を示唆したことで、流れに拍車が掛かった。
インフレ懸念の強い当局者が抵抗したとしても、パウエルFRB議長と意見を同じくするFOMC参加者が「利下げに賛成」しており、労働市場を含む最近の弱い経済指標を考えれば、「パウエル氏は他の参加者を説得できるだろう」と指摘する。
また、ハセット国家経済会議(NEC)委員長が次期FRB議長の最有力候補に浮上していると伝えられたことで、今後1年の利下げ観測が高まり、25日のニューヨーク時間の取引で、米10年国債利回りは1カ月ぶりに4%を一時割り込んだ。
エコノミストらは、トランプ大統領の積極的な貿易・移民政策が、企業が解雇や新規雇用に慎重な「低採用・低解雇」の労働市場を生み出しているとの見方を示している。米国では、雇用が依然として弱すぎて、少数の失業者も吸収できないことを示している。最初の仕事を見つけるのに苦労している新卒者や、今年これまでに希望退職者募集に応じた元連邦政府職員は申請資格がないことを考えると、失業率は申請データが通常示唆するよりも速いペースで上昇している可能性が高い。
【ベージュブック、米経済活動ほぼ変わらず-高所得層除き消費減少】
経済活動はここ数週間、ほとんど変化が見られなかったと、連邦準備制度理事会(FRB)が26日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で指摘した。一方、全体的な個人消費は高所得層を除いてさらに減少したという。
ベージュブックによると、雇用はわずかに減少し、物価は緩やかに上昇した。FRBは「全体として先行き見通しに大きな変化はなかった」とした上で、「今後数カ月の活動鈍化リスクが高まっているとの声が一部から上がる一方、製造業者の間では楽観的な見方も聞かれた」と述べた。
今回のベージュブックは、12地区連銀が17日までに収集した情報を基に、ダラス連銀がまとめた。ニューヨーク、アトランタ、ミネアポリスなど複数の地区は、高所得層の消費が堅調だった一方、低中所得層では弱まったと報告した。ミネアポリス連銀は「高所得の顧客は特に制約を感じていないが、『中所得から低所得層の顧客は支出を引き締めている』との回答があった」としている。
レイオフの発表は増えているものの、企業は従業員を直接削減するのではなく、採用凍結や自然減などの策を講じているとの報告が増えた。
物価に関しては、関税が依然として企業にとって懸念材料となっており、特に製造業や小売業では広範な原材料コストの上昇が報告された。複数の企業が、関税に関連して利益率の圧迫や財務面での負担を抱えているとした一方、需要の減少や関税率の引き下げ、関税適用の延期により、物価が下がったと指摘する企業もあった。
FRBは「先行きについては、多くの回答者がコスト上昇圧力の継続を予想しているが、近い将来に価格を引き上げる計画については見方が分かれている」と指摘した。
賃金の上昇率はここ数カ月、FRBのインフレ目標とおおむね一致しているものの、製造業や建設業、医療分野では「緩やかな」の賃金上昇圧力が見られたと報告されている。
フィラデルフィア連銀地区のある人材派遣会社は、移民政策の影響で新たに入国する労働者数が大幅に減少しており、多くの管理職が限られた労働力を確保するために賃金を引き上げていると指摘した。
今回のベージュブックは大半が、12日に終了した米政府機関の閉鎖期間中に取りまとめられた。報告によれば、一部の小売業者は政府閉鎖が消費に悪影響を及ぼしたと指摘。政府閉鎖中に補助的栄養支援プログラム(SNAP、旧称フードスタンプ)給付が滞ったこともあり、食料支援への需要が高まったと、地域の支援団体が報告している。
政府閉鎖により主要な経済指標の収集・公表が妨げられたため、企業や消費者の実情を伝えるこうした聞き取り報告は、ここ数カ月で注目度が高まっている。FRB当局者は、10月と11月分の雇用やインフレ関連の主要統計を、12月の政策会合までに得られない見通しだ。
市場では12月のFOMCで利下げと据え置きのどちらを見込むかで見方が揺れてきたが、パウエルFRB議長の方針に沿うことが多い2人の当局者が利下げ支持を示唆したことを受け、現在は利下げ確率が約80%に達している。このため、世界の株式市場は上昇トレンドとなった。NYダウは1週間で3.18%上昇、ナスダックは4.86%、S&P500は3.74%上昇した。日経平均も3.35%、TOPIXは1.40%、英FT100は2.36%、独DAXは3.23%上昇している。
【野口日銀委員、政策調整は慎重に-「小刻みな利上げ」が現実的】
一方、国内の金利政策で、市場がもっとも注目していたのが、日本銀行の野口旭審議委員の27日の講演内容だった。同氏は、結局今後の利上げについて、2%の物価安定目標の実現見通しに合わせて段階的に慎重に行う必要があるとの考えを示した。大分県金融経済懇談会で講演した。
野口委員は、先行きの利上げペースについて「早すぎても遅すぎても問題が生じる」と述べた。日銀のシナリオに沿って、2027年度までの見通し期間の後半に物価目標が達成されるならば、それに向けた適切なペースが重要と指摘。経済・物価への影響を確認しながら、「時を置いて小刻み」な利上げが現実的と語った。
その上で、「政策調整は慎重に行われるべき」だと主張。インフレ期待が2%付近で定着するには、「まだ時間が必要」と述べた。政策金利の拙速な引き上げは、賃金上昇のモメンタムを失わせ、「2%目標の達成を遠ざけてしまうリスクをはらんでいる」との見解を示した。
野口氏は、金融緩和や財政出動に積極的なリフレ派として知られる。9月の講演では、物価目標達成に着実に近づいているとし、利上げの必要性が高まりつつあるとの見解を示していた。今回の講演では段階的な利上げの必要性を強調しつつも、拙速な利上げに警鐘を鳴らした。
多くのエコノミストは、12月の利上げをマーケットに織り込ませるなら、もっと踏み込んだ発言があったはずで、「トーンダウンした感がある」と指摘。内容は比較的穏やかで、12月の利上げ観測を強めるような材料にはならなかったとの見方を示した。
市場では警戒していたほどタカ派的な発言でないとして、金利低下、円売りで反応した。27日午後1時36分時点の新発10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い1.795%。講演前に155円台後半で推移していた円相場は、一時156円台前半まで円安が進んだ。
利上げペースが遅すぎる場合には、「経済や物価の安定が脅かされる可能性が強まる」との見方も示した。円安進行や、資産価格の上昇によって経済や物価が上振れてしまう可能性にも言及した。
日銀は10月の金融政策決定会合で政策金利の維持を決めたが、高田創氏と田村直樹氏の2審議委員が9月に続いて利上げを提案。その後、小枝淳子氏、増一行氏の両審議委員も利上げに前向きな発言を行い、市場では12月18、19日の会合での利上げ観測が強まりつつある。なお、今週は12月1日の名古屋での植田総裁の講演と記者会見の内容が注目されている。週明け、円は府アンテナ動きをするかもしれない。