2025年11月24日
【Weekly No.511】NY連銀総裁、「近いうち」に追加利下げ行う余地あり
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- 【NY連銀総裁、「近いうち」に追加利下げ行う余地あり】
- 【米労働統計局、10月分CPI統計の発表中止-11月分は12月18日公表】
- 【米9月雇用11.9万人増、予想上回る 失業率は4年ぶり水準に悪化】
- 【円は今も安全通貨か、高市政権下で見えた過去との違い】
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Weekly 11月24日
【NY連銀総裁、「近いうち」に追加利下げ行う余地あり】
週間を通じて、米国株の下落は世界の株価に影響を与えてきた。21日の米株は反発の兆しを見せた。その最大の要因は、米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、労働市場の軟化を背景に、連邦準備制度理事会(FRB)が近いうちに再び利下げを行う余地があるとの見方を示した。同総裁はチリのサンティアゴでの講演で、雇用の下振れリスクが高まっている一方、インフレの上振れリスクは和らいでいると述べた。
「金融政策は最近の一連の措置以前と比べればいくぶん緩和的になったものの、依然としてやや景気抑制的だとみている」と同氏は指摘。「そのため、政策スタンスを中立に近づけ、2つの使命のバランスを保つために、短期的にはフェデラルファンド金利の誘導目標レンジをさらに調整する余地がある」と語った。
FRB内では、当面の追加利下げの是非をめぐり見解が分かれている。パウエルFRB議長が12月9-10日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に向けての合意形成を進めるなか、同総裁は「関税による二次的影響の兆候がない状態では、基調的なインフレ率は引き続き低下傾向にある」と指摘した。総裁は「関税による二次的影響の兆候がない状態では、基調的なインフレ率は引き続き低下傾向にある」と指摘した。金利先物市場が織り込む12月の追加利下げの確率は、同総裁発言前の約45%から約65%に上昇した。総裁の発言は、追加利下げの可能性がなお残ることをうかがわせる。
9月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比3%上昇となったことが、一部の当局者の懸念材料となっている。
【米労働統計局、10月分CPI統計の発表中止-11月分は12月18日公表】
10月のCPIだが、21日、米労働統計局(BLS)は、10月分の消費者物価指数(CPI)統計を発表しない方針を明らかにした。政府機関閉鎖の影響で、一部データをさかのぼって収集することができなかったためだという。
10月分については調査を伴わない多くのデータを取得できるとし、「可能な範囲で」11月分の公表時に10月の数値も併せて発表するとしている。11月分のCPIは12月18日に公表される予定で、これは年内最後のFOMC(米連邦公開市場委員会)会合(12月9日~10日)の後となる。
BLSは今週、10月分の雇用統計についても、同様のデータ収集上の問題を理由に公表を中止すると発表していた。BLSが月次のCPI統計を公表しないのは今回が初めて。1994年までさかのぼる過去の公表資料を確認しても前例はない。ホワイトハウスは今月上旬、政府閉鎖の影響で10月分の雇用統計とCPIは公表されない可能性が高いとの見方を示していた。
今回の米株の混乱はIT銘柄の過剰な投資などで割高感が議論されてきた。しかし、相場の根底には政府機関の封鎖により、経済指標が発表されないことが大きく影響しているだろう。FRBの各連銀総裁が金利据え置き発言などで、11月は12月利下げで動いていた市場は中旬から売り優先できた。
【米9月雇用11.9万人増、予想上回る 失業率は4年ぶり水準に悪化】
前述した様に、10月の雇用統計は公表されない。9月の雇用統計が米労働省によって、20日発表された。9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月から11万9000人増加し、エコノミスト予想の5万人増を大幅に上回った。一方、失業率は4.4%と前月の4.3%から悪化し、2021年10月以来約4年ぶりの高水準に達した。8月の雇用者数も大幅に下方改定され、今年2回目のマイナスとなり、労働市場の失速が続いている様子を示唆した。
失業率の上昇は、労働市場に新たに参入した求職者の増加を反映している。半面、労働省の別のデータによると、11月中旬のレイオフ件数は低水準にとどまっており、労働市場は「雇用も解雇もほぼ動きのない状態」となっているもよう。
労働市場の急速な悪化は示しておらず、経済と雇用の緩やかな成長を裏付けているという見方が多い。年内最後となる12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で「利下げが賢明でも必要でもないという、最近の金融政策シナリオを支えるだろうというエコノミストが多い。「雇用の増加か失業率の上昇どちらを選ぶべきか」という点で、状況を複雑にする。
8月の雇用者数は4000人減と、当初発表の2万2000人増から下方修正された。
9月の雇用統計は10月3日発表される予定だったが、連邦政府機関の一部閉鎖の影響で延期されていた。10月の統計については、前述のように11月分と合わせて12月18日に発表される見通し。12月9-10日のFOMCに間に合わないため、今回9月分のデータが金融政策に影響を与える可能性がある。
【円は今も安全通貨か、高市政権下で見えた過去との違い】
世界的な株安でさまざまな資産クラスの値動きが不安定化している今、安全通貨とされる円が力強く上昇する条件が整っている。ところが実際に円は急落し、動揺した投資家にとっての避難先という、円に長年与えられてきた役割に疑問が投じられつつある。
先週に入って円はドルに対して10カ月ぶりの安値に沈み、対ユーロでは過去最安値を更新。ここ数カ月の値動きはG10通貨で圧倒的な最弱ぶりを見せており、政府・日銀による介入観測が高まっている。
ここで鍵を握っているのは日本国内の問題だ。高市首相はまるでトランプ米大統領の政策を参照するように、大規模な財政出動を打ち出すとともに、物価が高止まりしている中でも中央銀行にできるだけ低金利を維持させようとしている。
だから国際金融市場が神経質になっているにもかかわらず、投資家が急いで円買いに動かないのもうなずける。
これまで円がドル、スイスフランとともに主な安全通貨とみなされてきたのは、巨額の経常黒字保有と数十年にわたる超低金利ないしゼロ金利に由来する。
そうした環境が円キャリートレードを生み出し、日本の投資家は黒字を高利回りの外国資産に転換した結果、日本は長年、世界最大の債権国であり続けた。国際通貨基金(IMF)によると、今年6月末時点で日本が保有していた外国株・債券は差し引きで3兆6200億ドル(約568兆円)だった。過去の国際金融市場の混乱時には、これらの資産の一部が日本国内に環流しただけでも、急速かつ大規模な円買いにつながった。
しかし足元でそのような現象は起きていない。恐らく市場の動揺がまだそれほど激しくないからか、あるいは使い古された表現だが「今回は状況が異なる」のかもしれない。
率直に言えば、高市政権の政策には円にとってのプラス要素が全くない。
高市氏に近い自民党の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」は、政府が近く策定する経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案について総額21.3兆円超を確保すべきだと提言した。これは最近浮上していた見積もりよりも多く、前年度よりはるかに規模が大きい。また高市氏は、日銀が利上げしないことが望ましいとの考えも示唆している。
市場は素直に反応し、日本の10年国債利回りは17年ぶりの水準まで跳ね上がり、スワップ市場では日銀が数カ月以内に利上げする確率が急低下した。
日本国内に起因するマイナスのショックが非常に多い局面では、円の安全通貨としての地位は厳しくなる。円は実質ベースでも名目ベースでも利回りが非常に低く、これを克服するには多大な時間がかかる。
日銀の金融引き締めプロセスは既にゆっくりかつ漸進的になっている。利上げは今年1月にようやく0.5%にしたのが最後で、実質金利はなお大幅なマイナス圏にある。これはキャリートレードの温床と言える。
為替レートは2つの通貨それぞれの事情が反映されるのが自明の理なので、日銀の利上げ時期が遅れる可能性があるのに加え、米連邦準備理事会(FRB) も利下げを当面見送る様相になってきた状況は、円強気派にとって二重の打撃だ。今年下半期のG10通貨の値動きを見ると、円が最弱で推移してきた半面、ドルは最も上昇している。
米国や世界の市場の混乱が今後数週間でさらに大きくなれば、円キャリートレードの一部が巻き戻され、円の安全通貨としての魅力が復活するケースはあり得る。
とはいえ日本の国内政策が現状のようである以上、今回は円が安全通貨となるのはより難しいのではないだろうか。