2025年11月17日
【Weekly No.510】14日、日経平均急反落、米利下げ観測後退で景気不安-債券安い
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- 【14日、日経平均急反落、米利下げ観測後退で景気不安-債券安い】
- 【10月の米雇用統計、失業率なしで発表へ-トランプ氏の経済顧問】
- 【円相場、日米政府高官の発言】
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Weekly 11月17日
【14日、日経平均急反落、米利下げ観測後退で景気不安-債券安い】
14日の東京市場では株式が急反落し、日経平均株価の下げ幅は一時1000円を超す場面があった。米国で利下げ観測が後退し、景気懸念の高まりによるリスク回避の売りが優勢だ。債券は下落(金利は上昇)し、円は対ドル154円台半ばで方向感に乏しい。
米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は13日、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げを実施すべきかを判断するには時期尚早と指摘。米セントルイス連銀のムサレム総裁も、インフレ率が当局目標の2%を上回る現状では追加利下げには慎重に臨むべきだとの見解を示した。12月の米利下げ確率は50%程度と、11月以降はじりじりと低下傾向。追加利下げがなければ、米景気や株式相場の流動性に悪影響が及ぶとの警戒がリスク回避の動きにつながっている。
FRBが利下げを急ぐよりも様子見を選択する可能性が高い状況では、金融緩和に敏感に反応するテクノロジー株にとって不利な環境だとみている。
株式市場ではソフトバンクグループやアドバンテスト、フジクラなど値がさの半導体・人工知能(AI)関連株が安く、日経平均の下落率は一時2%(1035円)に達した。決算への失望売りからキオクシアホールディングスはストップ安。東証33業種では非鉄金属や電機、機械などの下げが大きい。
一方、医薬品や食料品などディフェンシブセクター、不動産などバリュー株の一角に加え、国際原油市況の反発を受け鉱業や石油株が堅調。鉱業では利益計画の上方修正と自社株買い枠の拡大が好感されたINPEXが急伸した。こうした業種群に支えられ、TOPIXの下げは相対的に小さい。
高市首相は14日の参院予算委員会で、企業の行動について「株主に目を向ける行き過ぎた傾向があったのではないかと思っている」と述べ、コーポレートガバナンス・コードを改定する意向を示した。
この日、債券相場は下落。米長期金利の上昇や根強い日本の財政拡張懸念による売りが優勢となっている。
外国為替市場の円相場は対ドルで154円半ばでもみ合い。前日のニューヨーク終値は154円56銭だった。米金利の上昇がドルを下支えする半面、米政府機関の再開にめどがつき、経済指標の公表再開を控えていることが重しだ。
今年は年初からドルが売られてきたので、年末に向けドルが買い戻されると予測。足元では円買い・ドル売り介入警戒感からドルの上値は抑えられているが、この水準で介入などできるわけはないと市場が確信すれば、155円がドルの底値として定着するとの見方を示す。
【10月の米雇用統計、失業率なしで発表へ-トランプ氏の経済顧問】
米国家経済会議(NEC)のハセット委員長は13日、政府閉鎖の影響で公表が遅れていた10月の雇用統計について、失業率なしで発表されると明らかにした。
トランプ大統領の首席経済顧問であるハセット氏は「10月は家計調査が実施されなかったため、雇用統計の半分しか得られない。雇用者数は公表されるが、失業率は公表されない。これは1カ月だけの措置だ」と述べた。
10月の雇用統計は11月7日に公表される予定だった。政府閉鎖により職員が一時帰休扱いとなり、データの収集は行われなかった。またハセット氏は10月3日に発表予定だった9月分の雇用統計について、今週公表される可能性があると、ホワイトハウスで記者団に述べた。9月分のデータ収集は政府閉鎖が始まった10月1日までに完了していた。
米国史上最長の43日間に及んだ今回の政府閉鎖は、トランプ氏が12日につなぎ予算案に署名し、正式に終止符を打った。これを受けて統計機関や各省庁は徐々に業務を再開しつつある。雇用統計の発表を担当する労働統計局は現時点でコメントの要請に応じていない。BLSは近く新たな公表スケジュールを明らかにする見通しだ。
雇用統計は二つの調査から構成される。一つは企業を対象とする事業所調査で、雇用者数の算出に用いられる。もう一つは一般世帯を対象とした家計調査で、失業率の算出に用いられる。多くの企業は自社の雇用記録を保持しており、データをオンライン経由で提出できるが、労働者に電話で10月の特定週の就業状況を後から確認するのは難しいとされる。
ハセット氏はその後のインタビューで、大統領経済諮問委員会(CEA)の推計として、政府閉鎖の影響で「6万人程度の雇用喪失が見込まれる」と発言した。また、政権が把握している数値は追加利下げの方向に沿うものだとの認識を示した。
ホワイトハウスの報道官は12日、政府機関の閉鎖による影響で10月分の雇用統計と消費者物価指数(CPI)は公表されない可能性が高いと発言。ただ、雇用統計全体を指すのか、一部のみを指すのかは明らかにしていなかった。
【円相場、日米政府高官の発言】
三村財務官は5日、「為替の実際の動きと日米の金利差の推移を見ると、最近はやや乖離が見られると言えるだろう」と発言。「高市トレード」で進む円安に水を差した。実際、日米実質金利差とドル円の相 関性は足元で崩れており、日米実質金利差から見ればドル円は140円前後が適正と思われるところが、実勢レートは154円となっている状況だ。ドルと円の名目実効レートを見ると明らかだが、これはドル高によるものではなく、米相互関税や高市氏の総理就任などに伴い、日銀の利上げ観測が大きく後退したことで、4月下旬以降一貫して円が大きく下落したことによるものだ。
10月29-30日に行われた日銀金融政策決定会合では、利上げを主張して金利据え置きに反対票を投じた委員が9月と同じ2人に留まったことや、植田日銀総裁の会見も早期利上げに対して慎重なスタンスと受け取れる内容だったことから、日銀の利上げ観測はさらに後退。利上げに否定的だった高市氏の就任と相まって、次回利上げに対する市場予想の中央値は、来年4月まで後退している。
ただ、片山財務相は今年3月のロイターの取材に対し、「ドル/円は120円台の時期が長かったので、120円から130円、120円台が実力との見方が多い」と述べ、物価高の沈静化に向け円高進行が望ましいとの考えを示した。三村氏の発言と併せて考えれば、必ずしも「高市政権=円安容認」とはならない点に注意が必要だろう。そもそも物価高対策が最重要課題としているなかで、一段と円安が進めばインフレが加速する点は政府としても認識しているはずで、日銀の利上げに対しても必要に迫られれば理解を示すと思われる。
翻って10月28-29日に行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、FRBのパウエル議長は「12月の利下げは既定路線ではない、そういう状況からは程遠い(far from it)」と述べた。また、政府機関の一部閉鎖により経済指標が発表されていないことについても、「霧の中を運転しているときはスピードを落とす」などと述べ、12月の利下げを早々に織り込んでいた市場をけん制した。
筆者は市場のFRBに対する利下げ期待はやや行き過ぎているとみており、上述したパウエル議長のけん制球にさほど驚きはない。実際、FRBは2大責務として掲げている「物価の安定」と「雇用の最大化」のどちらを採るかという難題に直面している。米労働市場の悪化ぶりをみれば「利下げ」となるが、注意したいのは悪化の内容だ。11月6日に民間機関が発表した10月の人員削減数は15万3074人と、9月の5万4064人から約3倍に跳ね上がり注目を集めたが、同データによれば、削減された雇用はテクノロジー企業や倉庫業がメインで、人工知能(AI)の浸透による産業構造の変化が背景にある可能性が指摘されている。
また、米労働省による公式データの雇用統計は、9月、10月が政府機関閉鎖により未発表だが、8月の非農業部門雇用者数は米政府機関の雇用が前月比1万6000人減となっていた。政府効率化省(DOGE)による人員削減に加え、トランプ政権は政府閉鎖を受けて、10月以降も連邦職員の大規模な解雇を続けている。また、トランプ政権の反移民政策による移民の減少も雇用を悪化させている公算が大きい。
こうした、AIによる労働市場の構造変化やトランプ政権の政策による雇用の悪化は、果たして利下げによって解決できるものなのか、甚だ疑問である。一方で、米コア消費者物価指数(コアCPI)をみると、財が今年4月以降前年比でプラスに転じている。その後緩やかながらプラス幅を前年比1.5%まで拡大しており、関税による米インフレへの影響がじわじわと現れつつある。来年から開始する「トランプ減税」が米景気を押し上げれば、米インフレは高止まりする公算が大きい。したがって、行き過ぎた米利下げ期待の修正に伴い、来年以降はドル/円が再び緩やかな上昇トレンドに向かうとみている。
日本の通貨当局のけん制や、後退しすぎた日銀の利上げ観測の修正などに伴い、短期的には円高が進みやすく、ドル/円が一時下落する可能性があるとみている。下落余地としては、テクニカル上、10月3日の147円台から同週明け6日の始値148円台にドル/円が急騰した際に生じたロウソク足(日足)のギャップ(窓)が位置する147-148円付近となると予想している。一方、来年通年でみれば、トランプ減税による米国の景気回復と過度な米利下げ期待の後退により、ドルは緩やかに上昇していくとみている。