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2025年08月25日

【Weekly No.498】パウエル議長、利下げの可能性を高める。

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  1. 【パウエル議長、利下げの可能性を高める。】
  2. 【議長講演の内容】
  3. 【この日の金融市場の結果】
  4. 【各国中央銀行はパウエル議長を擁護】

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Weekly 825

【パウエル議長、利下げの可能性を高める。】

パウエルFRB議長は22日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)で講演。インフレ懸念が残る中でも労働市場へのリスクが高まっていることを指摘し、慎重ながらも9月の利下げに道を開いた。この日の米金融市場でパウエル議長講演を受けて 株価が急伸。一方ドルは下落し、米債利回りは低下した。、米国債利回りは全年限で下がり、金融政策の変更に対する感応度の高い2年債利回りは一時11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。10年債利回りは4.25%と1週間ぶりの低水準となった。ドルは円に対する下落率が一時1%を超え、14658銭を付けた。前日から2円近く円高が進んだことになる。

NYダウの終値は45631ドル74セントと、前日と比べて846ドル高、終値としての最高値を更新した。パウエル議長の講演を受けて来月、利下げが行われるとの観測が強まり、景気の先行きへの期待から買い注文が膨らんだ。
事前に配布された原稿によれば、「失業率など労働市場の指標の安定により、われわれは政策スタンスの変更を検討する上で慎重に進むことが可能になる」と指摘。「もっとも、政策が景気抑制的な領域にある現状では、基本見通しとリスクバランスの変化が、政策スタンスの調整を正当化する可能性がある」と述べた。

労働市場については労働力需給の両面で顕著な鈍化が見られ、「やや奇妙な均衡状態」にあると指摘。7月の雇用統計では、ここ数カ月の雇用者数の伸びが従来の発表値より大幅に弱いことが示されたと述べた。

 

【議長講演の内容】

パウエル氏は「この異例な状況は雇用に対する下振れリスクが高まっていることを示唆している」とし、「そうしたリスクが現実化した場合、レイオフの急増や失業率の上昇という形で一気に表れる可能性がある」と語った。

パウエル議長の講演で、9月に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げがあるとの観測を裏付けた。非常に弱かった直近の雇用統計を議長は重視していた。

FRB当局者の間では政策調整の内容は時期を巡って見解が分かれている。労働市場の底堅さを指摘する当局者もいれば、雇用軟化の兆候が出始めていることから、より深刻な景気低迷につながり得ると警告する者もいる。

パウエル議長はただ、トランプ大統領の関税が持続的なインフレを引き起こす可能性に対し、政策当局者は警戒を怠るべきではないとも指摘。関税の消費者物価への影響は「今や鮮明になった」としつつ、影響は比較的短期にとどまるというのが妥当な予想だとも述べた。

一方、「関税による物価上昇圧力がより持続的なインフレ力学をもたらす可能性もあり、それは精査と管理が必要なリスクだ」と述べた。

「目標にこうした緊張が生じる状況では、われわれの枠組みは2大責務の両方のバランスを取ることを求めている」とパウエル氏は付け加えた。

パウエル議長はまた、金融政策判断の指針となる中長期的な戦略である政策の枠組みについて、加えられた変更を説明した。

そうした変更には、2020年に導入された方針の明確化が含まれる。当時の方針変更は、失業率が低い状況でインフレを未然に防ぐ目的での利上げは行わないとのシグナルを発していた。

パウエル氏は22日、失業率が長期的にどの水準に落ち着くべきかという推定のみを根拠に利上げを行う必要はないという認識で、政策当局者はなお一致していると指摘。その上で、2020年に行った修正は決して、労働市場が強い場合に将来のインフレ上昇を見越して利上げする能力を「永久に放棄する」ことを意図したわけではないと付け加えた。

この日に発表された変更では、政策決定は「最大雇用への未達」判断に基づくとの文言が削除された。その代わり、「雇用は時に最大雇用のリアルタイム評価を上回ることがあっても、それが必ずしも物価安定へのリスクを生むわけではない」とより具体的に表現する文言が採用された。

金融市場がこれほど大きく反応したのは、今月初めに発表された7月の雇用統計が予想外に低調だったほか、消費者物価指数(CPI)から関税措置の消費者への転嫁が足元限定的であることが示唆され、市場では9月の利下げ期待が高まった。ただ、その後発表された7月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が約3年ぶりの大幅な伸びとなったことなどから、利下げ観測は後退していた。

パウエル氏にとり、今回がFRB議長として最後のジャクソンホールでの講演となる。講演の冒頭、観客は総立ちでパウエル氏に拍手を送った。

一方、パウエル議長の金融政策運営を繰り返し批判し、利下げを要求しているトランプ大統領はパウエル氏の講演後、「彼を『遅すぎる』と呼ぶのには理由がある。1年前に利下げすべきだった。遅すぎる」とコメントした。

 

【この日の金融市場の結果】

前述したように22日の米金融市場では、株価が急伸。一方ドルは下落し、米債利回りは低下した。パウエルFRB議長がこの日「ジャクソンホール会議」で行った講演を受けて、 FRBが近く利下げに踏み出すという楽観的な見方が広がった。

パウエルFRB議長は、雇用への「下振れリスクの高まり」に言及し、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げに着手する可能性を示唆した。同時に、今後の利下げについては「慎重に進める」という認識も示し、確約するには至らなかった。

市場の受け止め方は 「パウエル議長は市場の予想以上にハト派的だった。労働市場の減速とそれに伴うリスクを認識している。9月の利下げへの下地となり、ポジティブな材料」ということだろう。

これで講演後の22日午後時点で金利先物市場が織り込む9月の0.25%ポイント利下げの確率は89%と、パウエル氏講演前の70%から上昇した。

米株式市場では、主要株価3指数が軒並み上昇。NYダウは2%超上昇し、最高値を更新した。ナスダック総合も約2%高、SP500も約1.6%高。金利敏感株が買われ、小型株で構成するラッセル2000は一時3.6%上昇した。外為市場では、ドルが下落し、主要通貨バスケットに対するドル指数は0.8%安。

 

【各国中央銀行はパウエル議長を擁護】

ジャクソンホール会合では、各国・地域の中央銀行総裁は、パウエルFRB議長を援護する決意を伴って一堂に会したようだ。

トランプ米大統領は利下げに応じないパウエル議長を執拗(しつよう)に攻撃し、来年5月に任期が満了する議長の後任には、より従順な人物を充てると公言した。こうした攻撃姿勢は、世界中の政策担当者を動揺させ、インフレ抑制に不可欠と思われる中央銀行の独立性を損なう不安が高まった。

経済がより脆弱(ぜいじゃく)な国・地域の政治指導者が、トランプ氏の言動で意を強くする場合は特にそうだが、選挙で選ばれた為政者が金融政策担当者に圧力をかける危険を警告し、パウエル氏への強い支持が表明されることになる。

FRB1970年代にインフレ抑制に失敗し、大統領からの金利引き下げ要請に応じることもあったが、ボルカーFRB議長の下で、確固たる独立性に基づく金融政策決定を開始した。

政治家は中銀に低インフレ、あるいは低インフレと完全雇用を同時に目標とする責務を要求するが、より長期的に経済に最適な政策の決定は中銀に任せる。これがインフレ抑制の最も効果的な方法だと研究もだされている。

今年1月のホワイトハウス復帰後、トランプ大統領はパウエルFRB議長に公然と圧力をかけ続けており、前例がないわけでないとしても、先進国での不快な変化と映る。

こうした状況は金融市場にも影響を及ぼしている。トランプ大統領の連邦準備制度への攻撃は、二転三転した関税政策や財政見通しの悪化懸念と共に「米国売り」のトレードに拍車を掛けた。ドルは先進国市場通貨バスケットに対し、上期に10%余り下落し、1973年以来で最悪のパフォーマンスとなったのだ。