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2025年07月21日

【Weekly No.493】パウエル議長解任の話題に株式やドル、長期国債が値を下げる

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  1. 【パウエル議長解任の話題に株式やドル、長期国債が値を下げる
  2. 【米30年債利回り5%台、円安加速で一時149円台-関税インフレを懸念】
  3. 【米小売売上高、6月+0.6%で予想以上に回復 利下げ延期を示唆】
  4. 【トランプ氏、日本に25%の関税発動見通し】
  5. 【長期金利が17年ぶり高水準、財政懸念を受けて債券売りが継続】

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Weekly 721

 【パウエル議長解任の話題に株式やドル、長期国債が値を下げる】

16日、トランプ米大統領が再び世界の金融市場を揺さぶった。パウエルFRB(米連邦準備制度)議長解任の是非だ。 ホワイトハウス高官はトランプ氏が近くパウエル議長を解任する可能性が高いと述べた。4月初めの関税措置発表が市場に大混乱をもたらした時のように、今回の発言でも16日の市場に一時、動揺が広がった。

株式やドル、米長期国債が急速に値を下げる一方で、短期国債相場は上昇した。パウエル氏の後任は誰であろうとトランプ氏の意向に従い、利下げに動くとの観測に基づくものだ。

だが1時間足らずで市場は巻き戻された。トランプ氏がパウエル議長を解任する可能性について「何かをするつもりはない」と発言したためだ。トランプ氏は最近、利下げに動くのが遅過ぎるとしてパウエル氏を毎日のように批判していたにもかかわらずだ。

もっとも市場の反応は、全体としては比較的控えめなものだった。トランプ氏は「はったり」発言を繰り返す傾向があるほか、金利政策に不満を抱いた大統領にFRB議長を実際に解任できる法的権限があるかという疑問もあったことが要因だ。それでも、市場が発したメッセージは明確だった。多くの市場参加者の当初の反応は、トランプ氏がこれまであり得ないとされてきた行動に出るのではという根深い懸念を反映したものだった。つまり、パウエル氏解任によって、FRBの長年にわたる金融政策の独立性に終止符を打ち、インフレ急加速のリスクを招くという不安感だ。市場はこれを現実味のある脅威と受け止めている。実際に解任に踏み切った場合の市場の反応を探るためにトランプ氏が観測気球を打ち上げたのではないかというのが市場の見方のようだ。結局のところ、パウエル氏解任には法的ハードルが極めて高いとも言われている。

この日、米政策金利に敏感に反応する米2年国債利回りは一時8ベーシスポイント(0.08%)低下する一方、5bp(0.05%)低下していた10年債利回りは下げ幅を縮小した。一方で、解任のタイミングはパウエル氏後任の人選ほど重要でないと考える向きもある。

大統領が徐々にFOMC(米連邦公開市場委員会)の考え方に影響を与えることができれば、債券市場は次第にイールドカーブがスティープ化(短期債利回りが低下し、長期債のそれは上昇すること)し、ドルは弱含むだろう。

 

【米30年債利回り5%台、円安加速で一時149円台-関税インフレを懸念】

パウエルFRB 議長解任の噂で沸いた16日の前日である15日に発表された6月のCPI(米消費者物価指数)はインフレの抑制を示したが、関税が今後インフレを押し上げるとの懸念がより意識された。これに伴い、FRB(連邦準備制度理事会)が当面は金利を据え置くとの観測が広がった。

この日、米10年債利回りは4ベーシスポイント(0.04%)余り上昇。30年債利回り3bp(0.03%)余り上昇し、6月以来の5%台に乗せた。

6月のCPIは、食品とエネルギーを除くコア指数が5カ月連続で市場予想を下回った。ただ細部を見ると、企業が関税に伴うコストの一部を消費者に一段と転嫁し始めている状況がうかがえる。コアインフレ率は若干軟化しているものの、関税によるインフレの波及が見られ、今後数カ月は物価上昇圧力が高まるとみられている。

関税の影響を受けやすい衣料品カテゴリーには上昇圧力が見られた。CPIを受けて15日のドルは対主要通貨で全面高。円は一時、0.9%安の1ドル=14902銭付近に下落。日中としては4月3日以来の安値に沈んだ。CPI発表直後は不安定な動きとなり、上げに転じる場面もあった。なお、前述したように、16日のトランプ氏の「パウエル議長解任の計画はなし」発言で米金利は下げ、ドルも下げ、対円で147円台に下げた。

 

【米小売売上高、6月+0.6%で予想以上に回復 利下げ延期を示唆】

米商務省が17日発表した6月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.6%増となり、5月の0.9%減(改定されず)から予想以上に回復し、経済が勢いを取り戻しつつあることを示唆した。FRB(連邦準備理事会)は輸入関税によるインフレへの影響を見極める間、利下げを延期できる根拠が示された。なお、エコノミスト予想は0.1%増だった。また、同日、12日までの1週間の新規失業保険申請数が発表され、7000件減の22.1万と、3カ月ぶりの低水準となった。

この日のデータは、経済活動と雇用がおおむね堅調であることを示している。FRBの追加利下げを巡る差し迫った必要性はほぼないという見方を裏付けていることになる。

ただ、一部のエコノミストは、小売売上高増加の背景には、さらなる価格上昇への懸念があると指摘している。インフレ懸念が足元の小売売上高を押し上げている可能性がある。消費者が向こう数か月で予想される物価上昇を見据えて買い物していることが背景にあるかもしれない。

 

【トランプ氏、日本に25%の関税発動見通し】

トランプ米大統領は16日、日本との関税交渉を巡り、「日本に関しては恐らく書簡の内容通りになるだろう」と述べ、先に送付した書簡で示した25%の上乗せ関税を8月1日に発動することになるとの認識を示した。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団の質問に答えたもので、「150余りの国々に対し、支払いの通知を送るだけだ」とも指摘。トランプ氏は米国がこれから書簡を送る貿易相手について、「こうした国々は大国ではなく、取引も多くない」と説明し、中国や日本とは異なると話した。さらに、インドとのディール(取引)にも「非常に近づいている」とあらためて表明した。

その後、メディアのインタビューに答えて、150カ国に対して一律10%または15%の関税を設定する可能性が高いと発言。欧州連合(EU)との貿易ディールに関しては「無関心」としたほか、カナダとのディールについては「言及するのは時期尚早だ」と語った。

トランプ氏は最近、一連の関税要求を打ち出し、米国との交渉を取りまとめなければ8月1日から新たな関税が発動されると通知した。当初は今月9日を期限としていたが、これらの書簡により期限がさらに3週間延長され、高関税を回避しようと貿易相手国・地域が慌ただしく協議に臨んでいる。

トランプ氏と側近らは当初、複数の貿易相手と個別に合意を結ぶことに期待を示していた。だがトランプ氏はその後、関税を通知する書簡そのものを「ディール」と呼んでおり、交渉でのやり取りには関心がないことを示唆している。それでも同氏は、各国・地域が関税率を引き下げるような合意に至る可能性を否定はしていない。

今回の一連の書簡送付により、金融市場では一層不確実性が高まり、米国との暫定合意を期待していたEUなどの貿易相手に驚きが広がっている。

石破茂首相は18日午後、大阪・関西万博の大統領代表団として来日中のベッセント米財務長官と官邸で面会した。ベッセント氏は米国の関税措置を巡る日米協議に関し、必ず良い合意ができるとの認識を示したという。石破首相が終了後、記者団に明らかにした。

一方、ベッセント財務長官は首相との面会後、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿し「米国と日本の間で相互に利益となる貿易合意は依然として可能な域にある」との見解を示した。「拙速な合意より、良い合意の方が重要だ」とも述べ、協議にはなお時間を要する可能性も示唆した。その上で「今後も正式な協議を継続できることを楽しみにしている」と記した。なお、19日も万博での米国のナショナルデー行事には赤沢経済再生担当相が応対にあたる。当然、ベッセント長官との対談もあるだろう。

 

【長期金利が17年ぶり高水準、財政懸念を受けて債券売りが継続】

15日、国内の長期金利が1.595%まで上昇して約17年ぶりの高水準を付けた。20日投開票の参院選で与党の苦戦が伝えられ、拡張的な財政政策に傾くとの懸念が強い。

債券市場で15日、新発10年国債利回りは前日終値に比べて2.5ベーシスポイント(0.025%)高い1.595%と2008年以来の水準に上昇した。財政リスク警戒で前日から超長期債に広がっていた売りが長期債に波及した。10年金利は金融機関の貸出金利や住宅ローンの基準の1つで、上昇による企業活動や経済に与える影響が大きい。20年債は199911月以来の高水準に上昇、30年債は過去最高を更新した。

海外市場でも財政拡張リスクへの懸念から超長期を中心に金利上昇傾向が続いており、特に20日に参院選を迎える日本市場で顕著になっている。金融政策の正常化に向けて国債買い入れを減額している日銀に代わる買い手が不在の中、売りが売りを呼ぶ展開が警戒されている。

15日朝日新聞が報じたところでは、参院選で与党が序盤情勢より劣勢となり、非改選を含む定数の過半数(125議席)の維持は困難になっていると報じた。他のメディも与党が過半数維持に向け厳しい戦いとなっていると伝えた。市場は参院選での与党敗北、石破首相退陣をメインシナリオにして動き出しているようだ。

14日の米国や欧州市場で超長期金利が上昇したことも、15日の投資家の日本の債券買いを慎重にさせている。ドイツの30年債利回りは2ベーシスポイント(0.021%)上昇し3.25%と、2023年以来の高水準で取引を終えた。米30年債利回りは一時4bp(0.04%)上昇し5%に接近し、6月上旬以来の高水準を付けた。

国内の10年債金利が1.6%を超えればそれなりに投資家の買いが入る可能性もあるが、需給不安と流動性低下で不安定化している超長期債につられている面があるだけに10年債利回りが1.6%で止まるかどうかは不透明だ。

とはいえ、18日の日本市場で債券が上昇(金利は低下)。参院選で与党が過半数割れすることは織り込み済みで、選挙後も大幅な金利上昇は避けられるとの見方から買いが入っている。18日の株式市場は軟調、円の対ドル相場は148円台後半でもみ合う展開。

債券市場では与党が過半数割れしても石破茂首相が続投するシナリオが意識されているようだ。選挙後に大規模な財政支出が行われるとの予想に基づく選挙トレードの巻き戻しが18日には続いている。18日の10年債利回りは、若干低下して1.520%で週を終えた。

20日投開票の参院選で自民、公明の連立与党の非改選を含めた議席数が過半数(125議席)を下回る可能性が報じられている。大幅に割り込めば、石破首相の求心力は低下する。一方、衆院選と異なり参院選後に首相指名選挙を行う必要はないため、参院選で過半数割れしても首相を続けることは可能だ。