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2025年06月16日

【Weekly No.488】米5月のCPIは前年比2.4%上昇、前月からやや加速

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  1. 【米5月のCPIは前年比2.4%上昇、前月からやや加速】
  2. 【イランが報復攻撃始まる。ミサイル数百発を発射】
  3. 【欧米では株と債券が共に下落-原油急騰でインフレ懸念強まる】
  4. 【原油価格急騰、この先の見通しは】
  5. 【パウエル議長の任期満了で政策シフトか、市場で強まる利下げの思惑】

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Weekly  616

【米5月のCPIは前年比2.4%上昇、前月からやや加速】

米労働省の労働統計局が11日発表した5月のCPI(消費者物価指数)は前月比0.1%、前年比2.4%上昇し、伸びは4月の2.3%からやや加速した。しかし、予想(2.5%)を下回った。ただ、トランプ政権が掲げる関税措置により、インフレは加速すると予想されている。

物価の「瞬間風速」を示す前月比では0.1%上昇だったが、4月は0.2%上昇していた。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.1%、前年比2.8%上昇している。ただし、予想はそれぞれ0.3%、2.9%だった。

5月の物価上昇圧力が抑制されていたことについてエコノミストは、多くの小売業者が関税前に仕入れた商品を販売しているため、トランプ大統領が掲げる広範な関税措置に対する反応は今のところ緩やかなものになっているとの見方を示している。

12日、PPI(生産者物価指数)は前月比0.1%上昇、予想は0.2%上昇。前年同月比では2.6%上昇。予想と同じだった。いずれもインフレが抑制されているということで12月利下げの見方も強まってきた。米債券市場では30年債入札が旺盛な需要を集め、市場で高まっていた懸念は杞憂(きゆう)に終わった。米10年債利回りは4.36%程度と0.06%低下した。

12日のNY,13日朝の東京外国為替市場で円相場は1ドル=143円台半ばと、12日の東京時間の夕方から小幅に上昇している。前述したインフレ指標の鈍化やトランプ大統領の関税発言を受けて米国の利下げ観測が強まり、ドル売り・円買いがやや優勢だ。中東情勢の緊迫化も円を支えている。

13日の日本市場ではその後、イスラエルによるイラン空爆を受けて、地政学リスクの高まりからリスク回避の円買いが加速している。円は1ドル=142円台後半に上昇。日経平均は一時5600円安、1%超下落している。この報道を受けて、米長期金利は時間外取引で急低下。原油先物相場は急伸している。

トランプ大統領は11日、中東が「危険な場所になる可能性がある」ため、米国の職員を中東から移動させていると発言。これを背景に、ドルはスイスフランに対して2カ月ぶりの安値、円に対しては約1週間ぶりの安値に沈んだ。

 

【イランが報復攻撃始まる。ミサイル数百発を発射】

13日イスラエルによる核施設攻撃に対する報復として、イランはミサイル数百発をイスラエルに向けて発射した。中東全体を巻き込む恐れのある紛争拡大により、世界の金融市場にも動揺拡大のリスクが高まっている。

イスラエル当局は、イランから発射されたミサイルを確認したと発表。迎撃の際の爆発音や飛来物の破片落下も報告された。イスラエル当局者によれば、ミサイル迎撃には米軍も協力している。

イランの最高指導者ハメネイ師は、イスラエルの攻撃に対して断固として報復する考えを表明。国営テレビで放映された録画メッセージで「イスラエルの方から戦争を仕掛けてきたのだ。この重大な罪を犯したイスラエルを無傷では終わらせない」と述べた。

英国のスターマー首相はイランの核開発計画について英国は「深刻な懸念」を抱いてきたと述べ、イスラエルの自衛権を支持した。その上で対立の緩和を呼び掛けた。

スターマー氏は、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相との電話会談を終えた後でブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、「事態の悪化を非常に懸念している。だからこそ、ドイツやフランスとともに、緊張緩和が今まさに必要だと明確に認識している」と述べた。

石破茂首相は官邸で記者団に対し、イスラエルのイラン空爆について「極めて遺憾であり、強く非難する」と表明。国家安全保障会議(NSC)閣僚会合で、事態の沈静化とイラン核問題解決に取り組むよう指示した。

トランプ大統領は「この殺りくを終わらせる時間はまだある。すでに計画されている次の攻撃はさらに残忍なものだ」とSNSに投稿した。トランプ氏は「手遅れになる前に」イランは合意に達する必要があると訴えた。

 

【欧米では株と債券が共に下落-原油急騰でインフレ懸念強まる】

13日の欧州債券市場は、イスラエルがイランに対して空爆を実施したことで、安全資産への逃避の動きが加速し、欧州債は一時価格が上昇した。その後、原油価格の高騰が新たなインフレを引き起こすリスクが意識され、下落に転じた。

ドイツの10年債利回りは0.06%上昇して2.54%、インフレ期待を示す指標。リスク回避姿勢が強まったことで、イタリア債とドイツ債の利回り差(スプレッド)は0.02%拡大して0.95%、フランス債とドイツ債のスプレッドも同幅拡大している。

欧州株も下落した。原油価格が急騰したことで、エネルギー株や航空株が大きく動いた。ストックス欧州600指数は、0.9%下落し取引を終えた。独DAX1.07%、仏CAC1.04%、他の国の市場も軒並み1%弱下げた。

その後米国市場ではNダウが769ドル安と1.79%下げた。ナスダックは1.30%、S&P500 1.13%の下落となった。米10年国債の利回りは0.046%上昇して4.402%となった。

 

【原油価格急騰、この先の見通しは】

イスラエルが13日にイランに対する大規模攻撃を開始したことを受け原油先物が即座に急騰したものの、米大手銀2社のアナリストは原油供給が大きく混乱する可能性は低いとの見方を示している。

ただゴールドマン・サックスは、ホルムズ海峡の封鎖といった最悪のシナリオが現実化すれば、原油価格は1バレル=100ドルを超える可能性があるとした。

イスラエルは日本時間13日未明、イランの核関連施設や弾道ミサイル工場、軍司令官を標的とした大規模な先制攻撃を開始。これを受け、原油価格は約9%急騰。北海ブレント先物は1バレル=74.51ドルで取引された。

ゴールドマン・サックスは13日に公表した報告書で、2025年夏の原油価格見通しに地政学的リスクプレミアムを織り込んだ上で、「中東の原油供給は混乱しない」と予想。「米国のシェールオイル以外による供給増により、北海ブレントと米WTIは25年第4・四半期に1バレル=59-55ドル、26年には56-52ドルに下落する」との予想を維持した。

シティのアナリストも、原油供給の混乱は限定されると予想。 地政学的緊張が続く可能性があるものの、エネルギー価格が長期にわたり高止まりする可能性は低いとの見方を示した。

一方、コメルツバンクは事態が悪化し供給リスクが発生すれば原油価格は上昇するとし、原油価格が当面1バレル=70ドルを下回る公算は小さいとの見方を示した。

市場では、世界のエネルギー輸送の要衝のホルムズ海峡が封鎖される可能性が最大のリスクとして認識されている。

ゴールドマン・サックスは、ホルムズ海峡が封鎖されればOPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」による予備生産能力の活用が妨げられる可能性があるため、注視する必要があると指摘。長期的に供給が阻害される極端なシナリオの下では1バレル=100ドルを超える可能性もあるとした。

JPモルガンも、最悪のシナリオが現実化すれば1バレル=120-130ドルに達する可能性があるとの見方を示した。

 

【パウエル議長の任期満了で政策シフトか、市場で強まる利下げの思惑】

米金融市場では、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が任期を迎える2026年5月以降に金融政策が変更され、一段の利下げが実施されるとの思惑が強まっている。トランプ大統領は最近、任期満了までパウエル氏を解任しない意向を示す一方で、改めて利下げを要求した。

パウエル議長の任期最後となるFOMC(米連邦公開市場委員会)会合は26年4月28-29日で、その次の会合は6月16-17日に開かれる見通しだ。

トランプ氏はパウエル氏がまだ利下げ要求に応じていないとして繰り返し非難。4月にはパウエル氏の任期が早く終わってほしいとの考えを示しており、トランプ氏が指名する次期FRB議長が就任直後に利下げに踏み切るとの臆測を呼んでいる。