2025年06月09日
【Weekly No.487】6日のNY株高は雇用統計と中国との緊張緩和期待による
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- 【6日のNY株高は雇用統計と中国との緊張緩和期待による】
- 【双方の懸念解消に向かうのか?】
- 【進展の兆し】
- 【米雇用統計で金利上昇、ドル高円安】
- 【FRB 利下げを急がない】
- 【トランプ氏、マスク氏との政府契約打ち切り示唆-蜜月の終わり鮮明に】
- 【ECBが8回目の利下げ、サイクル終わりに近づくとラガルド総裁】
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Weekly 6月9日
【6日のNY株高は雇用統計と中国との緊張緩和期待による】
6日の米国株は反発。S&P500は6000ポイントと2月以来の高値で引けた。米雇用統計を受けて、近く景気が減速するとの懸念が和らいだことや、午後にトランプ米大統領が次回の米中通商協議が9日に行われると明らかにし、緊張緩和への期待が広がったことが株価を押し上げた。
トランプ氏は中国との電話会談に先立ち、習氏について「交渉するには彼は極めてタフな相手だ!」と自身のSNSに投稿した。それから約36時間後、トランプ氏は電話会談で、レアアースの輸出再開の約束を取り付け、自分が望んでいた成果を得たと述べた。
習氏がその見返りに何を得たかは、米国のさらなる制裁措置の凍結以外、あまり明らかになっていない。中国にとって重要な、中国人留学生の受け入れについて米国の保証は得たが、習氏がトランプ氏を数カ月も待たせた理由の説明になるほどの成果ではない。
今回の電話会談は、米中関係の戦術的な緊張緩和につながる。だが、制裁の緩和、相互の執行メカニズム、技術封じ込めの終了といった中国の中核的な要求は、持続的な合意のために引き続き重要だ。今後の協議や政策で、米国が実質的な調整を行わない限り、合意が長期的な安定にはつながらない可能性がある。
【双方の懸念解消に向かうのか?】
トランプ氏は90分間に及んだ5日の中国との電話会談後、「中国との貿易合意については非常に良い状態にある」と記者団に述べた。
米国にとっての最大の緊急課題は、電気自動車(EV)や防衛システムに不可欠なレアアース磁石の不足だ。ジュネーブ会談後、米国側はこうした資源の供給を確保したと信じていた。だが、中国は輸出ライセンス制度を維持し、米国への輸出業者も他の国と同様に申請が必要だと表明して、米側を失望させていた。
一方の中国も、華為技術(ファーウェイ)の人工知能(AI)半導体使用に対する制裁措置や、半導体設計用ソフトウエアや航空機エンジンの対中輸出規制、さらに28万人を超える中国人留学生へのビザ制限に対し、裏切られたと感じていた。
習氏はレアアースの輸出規制によって力を誇示したものの、交渉の席に着く理由もある。中国経済は4-6月期(第2四半期)に急減速し、年後半にかけて圧力が強まると予想されているからだ。したがって現在、中国は『米国に対して強硬姿勢を貫くという政治的原則』から『引き続きぜい弱な経済を支える現実主義』に傾いており、中国側も緊張を緩和したがっているようだ。
【進展の兆し】
習氏の前には、今後さらなる進展が起こることを示す要素も複数ある。ラトニック商務長官がジュネーブでの米中貿易協議に加わることは、トランプ氏が対中技術規制の一部を撤回する可能性を検討していることを示唆している。
両首脳はまた、相互に訪問を招請した。実現すれば、貿易、輸出管理、人的交流など、複雑な問題に関する合意を通じて、関係安定化に向けた勢いを加速させる機会となる。トランプ氏はメラニア夫人も同行すると述べ、訪問に前向きな態度を示した。
ただ、一部のアナリストは、主題である貿易問題に関する詳細が不明確な点を指摘し、過度に楽観的になるべきではないと警鐘を鳴らしている。
【米雇用統計で金利上昇、ドル高円安】
5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが減速し、前月分も下方修正された。雇用者の増加数は前月比13.9万人増。3月、4月とも下方修正され2か月で9.5万人の下方修正となった。雇用主はトランプ政権の経済政策による影響を見極めようとしている。
5月の雇用者数増加は、医療や社会福祉、娯楽・ホスピタリティーなどサービス業での堅調な伸びを反映している。同時に、関税の影響を受けやすい業種からは警告サインが出ている。製造業の雇用者数は8000人減と今年最大の落ち込みとなった。一方で過去2カ月連続減少していた運輸・倉庫業の雇用は、5月は小幅に増加した。
エコノミストや政策当局にとっては、トランプ氏が目指す政府支出の削減が雇用にどの程度の影響を及ぼすかも、大きな焦点となっている。連邦政府の雇用者数は5月に2万2000人減り、2020年以来の大幅な減少となった。
連邦政府の支出削減が受託企業や大学など公的資金に依存する組織にも広がる中、国内で少なくとも50万人の雇用が失われる可能性があるとの見方が、エコノミストの間で出ている。
全体的に雇用主は関税をめぐる不確実性を前に『雇用の温存』を図っている。人員削減にはコストがかかるため、企業はトランプ関税の影響を見極めるまではレイオフに慎重だという見方もある。
雇用主は関税によるコスト増や景気減速懸念で企業が雇用を急速に削減しているとの見方もあったが、今回の統計でそうした懸念は和らぐ可能性がある。トランプ大統領が中国向けを含む一部関税の一時停止を決めたことで、企業や消費者のセンチメントが改善した。
雇用統計発表を受け、利下げが遠のいたという見方で米国債利回りは上昇。外国為替市場ではドルが買われた。円相場は1ドル=144円台後半に下落。
【FRB 利下げを急がない】
米金融政策当局者は、トランプ政権の政策が景気や労働市場に及ぼす影響がより明確になるまでは、利下げを急がない姿勢を示している。4日に公表されたニューヨーク連銀の調査では、「急激かつ急速な関税引き上げが、雇用水準や設備投資に影響を及ぼしたという兆候もいくらかあった」と記された。
また、今回の雇用統計は労働市場の崩壊を懸念していた投資家に安心感をもたらしている。労働市場は絶好調というわけではないかもしれないが、深刻な悪化の兆しは見られない。
投資家にとってこれは何を意味するのか。強い労働市場は、米金融当局に利下げ先送りの余地をさらに与えることになる。
当局はさらなる時間稼ぎが可能になるが、仮にインフレ率の低下が続けば、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は景気抑制的な金利政策を正当化しづらくなるかもしれない。
こうした背景を踏まえると、FOMC(連邦公開市場委員会)にとって、利下げの緊急性は低い。特に平均賃金が予想の上限付近で推移している現状において、貿易を巡る霧が晴れるまで金利を維持することは、政策ミスのリスクを軽減する。最初の利下げは2025年終盤に実施されると予想する。
【トランプ氏、マスク氏との政府契約打ち切り示唆-蜜月の終わり鮮明に】
トランプ大統領は5日、イーロン・マスク氏との連邦政府の契約や補助金を打ち切る考えを示唆した。かつて蜜月だった2人の関係が急速に悪化しているようだ。トランプ氏は「我々の予算から何十億ドルも節約する最も簡単な方法は、イーロンに対する政府補助金と契約を打ち切ることだ。バイデンがこれをやらなかったことは常に驚きだった」と述べた。
実際にトランプ氏がこうした措置に踏み切れば、マスク氏の主な収入源に大きな打撃を与えることになる。マスク氏のテスラおよび宇宙開発企業スペースXは、連邦政府からの契約や補助金から大きな恩恵を受けてきた。
DOGE(政府効率化省)」から最近退き、大型減税法案への批判を強めるマスク氏について、トランプ氏は法案に盛り込まれたEV(電気自動車)に対する税制優遇削減が不満なのだと記者団に対して発言。その上で「実に失望した」と語った。
これに対しマスク氏は「私がいなければトランプは選挙に敗れていた。下院は民主党が掌握し、共和党は上院で51対49の議席数になっていただろう」とマスク氏は主張した。
この発言を受けて、マスク氏が率いる5日のテスラの株価は急落、下げ幅は一時17%を超えた。翌6日には株価は買い戻しで回復。この日のテスラ株は全体を押し上げる要因ともなった。
【ECBが8回目の利下げ、サイクル終わりに近づくとラガルド総裁】
ECB(欧州中央銀行)は5日、8回目となる利下げを実施した。インフレ率が2%を下回る水準に落ち着き、米国の関税措置がユーロ圏経済に打撃を与えているとの認識を示した。
ECBは中銀預金金利を0.25ポイント引き下げ、2%とした。ほぼエコノミストの予想通りだった。ECBは声明で、「インフレ率は現在、中期目標である2%付近にある」との認識を示した。
また、声明発表後の記者会見に臨んだラガルド総裁は、ECBは利下げ局面の終わりに差し掛かっているとの見解を示した。総裁は「新型コロナウイルス、ウクライナでの不当な戦争、エネルギー危機といった複合的な衝撃に対応してきた金融政策サイクルの終わりに差し掛かっているところだと述べ、「現在の金利水準は、今後直面する不透明な状況を乗り切る上で適切な位置にあると考えている」と語った。
短期金融市場では追加利下げへの期待が後退し、追加利下げはもはや確実視されていない。ECBの決定前に実施されたエコノミスト調査では、7月は据え置き、9月に最後の利下げが行われるとの予想が優勢だった。
したがって、6日、独2年債利回りは6ベーシスポイント(1bp0.01%)上昇し1.86%と2週間ぶりの高水準となった。ユーロは対ドルで0.7%高の1.1495ドルを付けた。