2025年07月07日
【Weekly No.491】米国株、ダウ反発 雇用統計改善で景気懸念後退
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- 【米国株、ダウ反発 雇用統計改善で景気懸念後退】
- 【トランプ氏、4日から関税率の書簡送付-各国は8月1日から支払いへ】
- 【トランプ税制法は将来的な問題、一層深刻化】
- 【FRB7月利下げ遠のく、予想外に強い雇用統計-脆弱さも見え隠れ】
- 【ベッセント長官、参院選で「日本は難しい立場」-利下げやドルにも言及】
- 【強いドル政策】
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Weekly 7月7日
【米国株、ダウ反発 雇用統計改善で景気懸念後退】
3日の米株式市場でNYダウは反発し、前日比344ドル高。3日発表の6月の米雇用統計で雇用者数が市場予想以上に増え、失業率は低下した。米景気懸念が後退し、主力株の買いを誘ったようだ。
雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比14.7万人増と、市場予想の11万人増を上回った。失業率は4.1%と5月の4.2%を下回り、4.3%に上昇するとの予想に反して低下した。
米政府が5月に導入した半導体設計ソフトの対中輸出規制を撤回したことが2日に明らかになったことも、この日の株式市場では好感された。米中関係の改善や通商交渉の進展への期待が強まり、半導体関連株の一角に買いが波及した。
トランプ減税の延長を柱とする減税・歳出法案の審議の進展も株式相場を支えたとの見方があった。法案が成立、これで現行の所得税減税の2025年末の失効を回避できたことになる。新たに法案に含まれるチップ収入や残業代の免税措置、設備投資の減価償却要件の緩和などが景気浮揚につながるとの見方もある。米連邦議会下院では上院が1日に可決した法案の与党共和党内での調整が終わり、3日中に採決が実施された。
3日の米株式市場は独立記念日の祝日の前日で午後1時までの短縮取引だった。このため、市場参加者が少なく、薄商いのなかで、値動きが大きくなったとの声があった。
ハイテク株比率が高いナスダック株価指数は続伸した。前日比207.971ポイント高の2万0601.101で終え、連日で過去最高値を更新している。
【トランプ氏、4日から関税率の書簡送付-各国は8月1日から支払いへ】
トランプ米大統領は4日未明、貿易相手国・地域に対する具体的な関税率を記した書簡について、同日から送付を開始するとあらためて述べた。各国・地域は「8月1日から関税の支払いを始めることになる」と話した。
具体的にどの貿易相手国・地域に送付するかは明らかにしなかった。「最終的なフォームはすでに完成しており、基本的には各国がどれだけの関税を支払うことになるのかを説明する内容になる」と語った。どの国・地域が4日に書簡を受け取るかはコメント避けた。
また、タイムリミットの今月9日までに「全てが完全にカバーされることになり、関税率はおそらく60-70%から10-20%の範囲になるだろう」と述べた。
トランプ氏は3日、「恐らく明日から、1日に10通ほど各国に書簡を送り始めることになるだろう。米国と取引をするにはいくら支払う必要があるかを伝える内容だ」と、アイオワ州でのイベントに向けてワシントンを出発する際に記者団に語った。
トランプ氏は4月に世界一律10%の基本税率のほか、主要貿易相手国・地域を対象とした上乗せ関税を発表。このうち上乗せ関税については今月9日まで90日間の停止期間を設けている。
トランプ政権はこれまでに英国およびベトナムとの合意を発表。関税賦課の応酬となっていた中国とは休戦に相当する貿易枠組み合意を取りまとめた。
3日にさらなる合意があるのかとの質問に対し、トランプ氏は「他にも幾つかの合意があるが、正直なところ、私としては手紙を送って、どれだけの関税を支払うことになるかを伝えるのが性に合っている」と発言。「その方がはるかに簡単だ」と話した。
こうした現状にあって、日本や韓国、欧州連合(EU)など多くの主要貿易相手国・地域は引き続き合意に向けて米国との協議を続けている。トランプ氏はインドとの合意には前向きな姿勢を示しているものの、日本との合意の見通しについては、「非常に手ごわい」交渉相手だとして厳しい表現で発言。先週には批判のトーンをさらに強め、「日本には30%、35%、あるいはわれわれが決める数字を支払ってもらうべきだ」と語っていた。
トランプ氏は2日、ベトナムとの間で貿易に関するディールを取りまとめたとSNSへの投稿で明らかにした。それによれば、ベトナムからの対米輸出品には20%、ベトナムを経由した迂回(うかい)輸出と見なされる製品には40%の関税率がそれぞれ適用されるという。
こうした関税率は、トランプ氏が当初ベトナムに課すとした46%の関税率よりは低いものの、10%の基本税率よりは高い。また、ホワイトハウスは条件の公表も合意を明文化する大統領布告の発出も行っておらず、合意の詳細は依然として不透明だ。
それでも、2日発表のベトナムとの合意を受け、米国と貿易相手との間のどのような取引であっても待ち望んでいた投資家は勢いづき、ベトナムに生産拠点を持つ米メーカーの株価が上昇した。
【トランプ税制法は将来的な問題、一層深刻化】
トランプ大統領の減税・歳出法案が7月3日に米議会を通過し、米政府が短期的にデフォルト(債務不履行)に陥る可能性を回避したが、米国の長期的な債務問題は一層深刻化する見通しだ。
下院の共和党議員が可決した法案は2017年のトランプ減税を延長し、国境警備と軍事費を増額し、メディケアとメディケイド(連邦政府と州政府が共同で行っている医療扶助事業)を大幅削減し、政府債務を数兆ドル規模拡大させることになる。減税・歳出法案の一環として、米政府の債務上限を現行の36兆1000億ドルから5兆ドル引き上げた。現行の債務上限は今夏の後半に達すると予想されていたが、今回の動きはデフォルトを引き起こす懸念を和らげることになる。
長期的には、今回の法案は概して米国債市場と米財政の健全性にとって悪い知らせととらえられてきた。中立的な立場のアナリストの分析によると、この法案は今後10年間で国の債務を3兆4000億ドル(約493兆円)拡大させるという。
そうなると、ここ数カ月間で金融市場の価格変動を引き起こした主な要因となっている米国債の供給増加と需要減少を巡る懸念が強まることになる。
法案はまず常態化する財政赤字と高止まりする債務水準、そして第2はインフレという点に関して、米国債に対して構造的な懸念がある程度生じる一因となる。外国人投資家の米国債に対する関心が既に薄れていると警告した。
議会予算局(CBO)の試算によると、今回の法案で税収が4兆5000億ドル減少し、歳出が1兆2000億ドル削減され、1090万人が今後10年間で連邦医療保険を失うと見込んでいる。
法案はまた企業が設備投資や研究開発費を完全に償却するのを認めることで経済成長を促し、その他の減税措置も講じている。しかしながら、一部の投資家はトランプ氏が「一つの大きく美しい法案」と呼んでいる法案に盛り込まれた景気刺激効果について、債務が重荷になって打ち消されてしまう可能性があるだろうと懸念する。
「一つの大きく美しい法案」は企業収益の成長を加速させ、最終的に株価を押し上げるだろう。しかし、米国債の長期的な金利上昇につながり、数多くの債券投資が長期的にやや魅力を失う可能性がある」と、F.L.プットナム・インベストメント・マネジメントのチーフ・マーケント・ストラテジストのエレン・ヘイゼン氏は述べた。
10年物米国債利回りは連日下落していたが、2日は財政懸念が投資家に売り圧力となり、1日4.24%、2日4.28%、法案が通過した3日は4.34%と連日上昇している。
【FRB7月利下げ遠のく、予想外に強い雇用統計-脆弱さも見え隠れ】
6月の米雇用統計は、FRB(連邦準備制度理事会)にかかっていた7月利下げ検討を求める圧力を軽減した。FRBは少なくとも秋まで政策金利を据え置く公算が大きい。
前述したように 非農業部門雇用者数は前月比14.7万人増。市場では10万6000人増への伸び鈍化が見込まれていた。失業率は予想に反して4.1%に低下した。
しかし、こうした堅調な数字は、民間部門雇用者数の伸びの弱さや、労働市場の悪化を示唆する他の兆候を覆い隠している。どうやら、経済は減速しているが依然堅調で、現時点で金融緩和を正当化する状況にはないとFRBは分析しており、今回の統計はそれを裏付ける内容であろう。
今回の統計数字は金融緩和に関してパウエルFRB議長に様子見姿勢を取る余地を与える内容だとし、FRB当局者は夏の間、動かない可能性が大きくなった。アトランタ連銀の総裁は3日、雇用統計の発表後にドイツのフランクフルトで講演。「これほど不確実性が広がっている現在は、金融政策に大きな変更を加える時期ではない」と指摘。「マクロ経済が依然として底堅く、辛抱強く待てる余地がある状況においてはなおさらだ」と述べた。
しかし、市場関係者の間からは、今回の雇用統計に基調的な弱さの兆候があるとの声が聞かれる。FOMC(連邦公開市場委員会)は9月まで動かないと予想されるが、0.5ポイントの引き下げを検討しなければならなくなるかもしれない。さらに、関税に伴う一時的な物価上昇が見込まれる中にあって見方が変わる可能性もある。
6月雇用統計で、民間部門雇用者数は少なくとも昨年10月以来の低い伸びにとどまった。労働参加率も低下した。これにはトランプ政権が強硬な移民政策を進めている影響が反映されている可能性がある。外国生まれの労働者の数は3カ月ベースで見ると、コロナ禍初期を除けば、2007年のデータ集計開始後で最大の減少となった。6月は州・地方政府での雇用増加が全体の伸びをけん引する格好だった。
一方、労働市場は1年前と比べると勢いを欠くが、安定しており、その上で、結局のところ鍵を握るのはインフレ動向になるだろう。今月15日以降には6月分の物価指標が発表される。関税に起因するインフレが生じるとすれば、9月のFOMC前に表れるだろう。その時点で労働市場が持ちこたえていれば、FRBは利下げが難しくなってくる。
【ベッセント長官、参院選で「日本は難しい立場」-利下げやドルにも言及】
ベッセント財務長官は日本との貿易協議について、日本の国内政治が交渉を複雑にしている可能性があるとの見方を示した。複数回の交渉にもかかわらず日米はまだ合意に至っていない。複数のメディアでインタビューに応じた同長官は、このほかにFOMC(連邦公開市場委員会)の政策やドルの地位についても語った。
同氏は経済専門局CNBCとのインタビューで、「日本は素晴らしい同盟国だが、今は難しい立場にある。7月20日に参議院選挙を控えており、それが取引を進める上で多くの国内的制約をもたらしていると思う」と発言。「日本との合意がどうなるかは、見守ることになる」と話した。
一方、EUの通商担当者とは3日朝に会談したとし、欧州当局とはグリア米通商代表部(USTR)代表が「この週末に精力的に作業を進める」「従って、EUとは何ができるか見極めていく」と語った。
EUや日本などの貿易パートナーには現在、トランプ大統領が4月9日に発動した一律10%の追加関税のみが課されている。これは90日間の交渉期間中の措置で、同月初めに発表されたより高い関税の適用は一時的に停止されている。
また、同氏はFOMCが次回会合で政策金利を引き下げないのであれば、「9月にもっと大幅な利下げを実施することになるだろう」と述べた。同長官は「過去のFOMCモデルを見たが、それに基づけば金利はすでに引き下げられているはずだ」と述べた。
ベッセント長官はFOMCの金利判断に疑問を示し、2年物米国債利回りをみれば政策金利は高過ぎると主張。「FOMCの判断は、ややずれているように思える」と述べた。
同氏はこれまで、米金融当局に関するコメントは過去の政策に限定し、今後の判断に口出しはしないと語っていた。だがこの日は、「2年債利回りは、翌日物金利が高過ぎることを示唆している」との見解を繰り返した。
【強いドル政策】
ベッセント長官はブルームバーグのインタビューで、最近のドル相場下落が世界の基軸通貨としての地位を脅かしているとの見方を否定した。
「ドルの価値は強いドル政策と何ら関係ない」と発言。「強いドル政策というのは、ドルが世界の準備通貨であり続けるために米国が長期的に必要な行動を十分に取っているかどうかが鍵を握る」と述べ、トランプ政権はまさにそのような行動を取っていると主張した。
6月30日の外国為替市場ではドル指数が年初来で11%近く下げ、上期として1973年以来の大幅下落となった。関税政策が経済成長に与え得る打撃や、米国にマネーを流入させてきた同盟国に対するトランプ政権の強硬な外交姿勢などが、ドル下落の背景にある。
「われわれは経済が成長する舞台を整えている」とベセント長官は共和党の税制歳出法案について述べた。「政府はインフレを抑制している。世界の資本にとって、米国を最適な投資先にしている。これは今後も続くだろう」と話した。
同氏のインタビューは今後の米経済政策にとって、非常に興味深いものだった。政権内の重要人物であるため、政権外の批判をどうかわして進めていくか、注意が必要だ。